銀塩写真感光材料の現状と将来および日本写真学会への期待

前報に習い, 現時点での銀塩写真感光材料の性能を, 光吸収率, 潜像形成効率, 最小潜像中心のサイズおよび保存安定性の角度から分析した.ここで, 潜像形成の効率は自由電子の生成収率, 増感中心による電子捕獲および再結合に依る.その結果, カラーフィルムの性能には依然相当の改良の余地があることを確認した.その結果に基づき, 伸張著しいデジカメと対比しつつ将来動向を分析し, 銀塩写真感光材料がグローバルでは今後も緩やかに伸張することを予測した.写真の科学と技術は長年にわたって互いに刺激し合い, もはや新規参入が困難なほど精緻で高度な複合した銀塩写真感光材料の産業を築き上げて来た.このような銀塩写真...

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Published in日本写真学会誌 Vol. 66; no. 1; pp. 2 - 11
Main Author 谷, 忠昭
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 社団法人 日本写真学会 25.02.2003
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ISSN0369-5662
1884-5932
DOI10.11454/photogrst1964.66.2

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Summary:前報に習い, 現時点での銀塩写真感光材料の性能を, 光吸収率, 潜像形成効率, 最小潜像中心のサイズおよび保存安定性の角度から分析した.ここで, 潜像形成の効率は自由電子の生成収率, 増感中心による電子捕獲および再結合に依る.その結果, カラーフィルムの性能には依然相当の改良の余地があることを確認した.その結果に基づき, 伸張著しいデジカメと対比しつつ将来動向を分析し, 銀塩写真感光材料がグローバルでは今後も緩やかに伸張することを予測した.写真の科学と技術は長年にわたって互いに刺激し合い, もはや新規参入が困難なほど精緻で高度な複合した銀塩写真感光材料の産業を築き上げて来た.このような銀塩写真感光材料の進歩は学会の活動に大きく依存することを指摘し, その中での本会の特長と果たすべき役割を訴える.
ISSN:0369-5662
1884-5932
DOI:10.11454/photogrst1964.66.2