高齢者の大腿骨頸部骨折に対する理学療法の再考

高齢者の大腿骨頸部骨折は合併症が多く, 骨折後の歩行能力に影響をおよぼす. 我々は姿勢反射を取り入れた全身的治療を行い, 早期に歩行自立を達成している. 本稿の目的は歩行自立について筋力とバランスとの関連から治療効果を検討した. 痴呆, 膝の疼痛, 長期臥床, 下肢不全麻痺, RAなどの合併症を伴った高齢者の頸部骨折患者が訓練開始から2~4週で独歩を獲得できた. その評価を下肢筋力と重心移動距離, 歩行速度で検討した. 股関節伸展筋力は最大で歩行速度と関連が高く立位の重心移動値と歩行速度の関係があった. 下肢筋力の強さだけでなく, 姿勢反射での筋の反応性が重要であると思われる. 高齢者大腿骨頸...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in理学療法学 Vol. 27; no. 6; pp. 192 - 198
Main Authors 千葉一雄, 平木治朗, 橋口伸, 安井平吉, 矢田定明, 井上裕美子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本理学療法士協会 30.09.2000
日本理学療法士学会
Japanese Society of Physical Therapy
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0289-3770
2189-602X
DOI10.15063/rigaku.kj00003131678

Cover

More Information
Summary:高齢者の大腿骨頸部骨折は合併症が多く, 骨折後の歩行能力に影響をおよぼす. 我々は姿勢反射を取り入れた全身的治療を行い, 早期に歩行自立を達成している. 本稿の目的は歩行自立について筋力とバランスとの関連から治療効果を検討した. 痴呆, 膝の疼痛, 長期臥床, 下肢不全麻痺, RAなどの合併症を伴った高齢者の頸部骨折患者が訓練開始から2~4週で独歩を獲得できた. その評価を下肢筋力と重心移動距離, 歩行速度で検討した. 股関節伸展筋力は最大で歩行速度と関連が高く立位の重心移動値と歩行速度の関係があった. 下肢筋力の強さだけでなく, 姿勢反射での筋の反応性が重要であると思われる. 高齢者大腿骨頸部骨折の理学療法の目的は, 受傷前への生活自立を早期に獲得することであるが, 合併症の無い高齢者の大腿骨頸部骨折患者は14%に過ぎず1), 退院時の歩行能力は30~50%の低下が認められると報告されている2).
ISSN:0289-3770
2189-602X
DOI:10.15063/rigaku.kj00003131678