顎関節症の臨床統計的観察

顎関節症患者200症例について, 顎関節研究会の症型分類案に基づいて分類し, 臨床統計的観察を行った。 (1) 症型別頻度は, I型12例 (6%), II型20例(10%), III型52例 (26%), IV型116例 (58%), とIV型が最も多かった。IV型の診断基準となる骨変形の評価については断層X線撮影法が望ましいと思われた。 (2) 男女比では, 男性51例, 女性147例と女性に多かった。年齢別分布では, 10代-20代と40代にピークがみられ, これは男女別にみても, 症型別にみても同様の傾向であった。 (3) 左右差では, 左側: 右側: 両側=88:81:31で特に差は...

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Published in日本顎関節学会雑誌 Vol. 7; no. 2; pp. 289 - 298
Main Authors 林, 優亘, 更家, 誠, 大橋, 伸一, 小川, 祐司, 鎌田, 仁, 高木, 忍, 小林, 晋一郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本顎関節学会 20.09.1995
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ISSN0915-3004
1884-4308
DOI10.11246/gakukansetsu1989.7.289

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Summary:顎関節症患者200症例について, 顎関節研究会の症型分類案に基づいて分類し, 臨床統計的観察を行った。 (1) 症型別頻度は, I型12例 (6%), II型20例(10%), III型52例 (26%), IV型116例 (58%), とIV型が最も多かった。IV型の診断基準となる骨変形の評価については断層X線撮影法が望ましいと思われた。 (2) 男女比では, 男性51例, 女性147例と女性に多かった。年齢別分布では, 10代-20代と40代にピークがみられ, これは男女別にみても, 症型別にみても同様の傾向であった。 (3) 左右差では, 左側: 右側: 両側=88:81:31で特に差はみられなかった。 (4) 歯の所見との関連では, 叢生をはじめとして前歯部にdiscrepancyを示す所見が, 特にIII型, IV型症例に数多く認められた。 (5) 症型分類と治療期間との関係では, III型症例が最も治療期間が長く, ついでIV型であった。また, 異なる症例に同一の治療法を行った症例の比較では, IV型, III型, II型, I型の順に治療期間が長くなる傾向がみられた。復位を伴う関節円板前方転位例では骨変化の少ないほうが, また復位を伴わない関節円板前方転位例では徒手的円板整位術が奏効する症例において治療成績が良好であり, 併用療法の症例では治療期間の遅延がみられた。
ISSN:0915-3004
1884-4308
DOI:10.11246/gakukansetsu1989.7.289