幼児の肥満要因と母親の食意識・食行動の関連について

幼児期は, 発育発達だけでなく, 生涯にわたる望ましい生活習慣, とりわけ食習慣を身につける大切な時期である1). この時期の食生活管理は主として母親に委ねられており, その影響を大きく受ける2~4)ことから, 母親の意識などが子どもの栄養や食生活状況に大きくかかわってくると考えられる. 近年, 子どもを取り巻く状況の著しい変化にともない, 幼児期における生活習慣病の問題が深刻化している. とりわけ, 思春期以降の肥満の発生に幼児肥満が深く関与しており幼児期からの肥満対策が重要といわれている5). その発症要因は多様であろうが, 食事の手伝い体験や食体験の少なさが招く生活習慣の乱れ, 食事の不...

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Published in栄養学雑誌 Vol. 61; no. 5; pp. 289 - 298
Main Authors 大木 薫, 稲山貴代, 坂本元子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本栄養改善学会 01.10.2003
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ISSN0021-5147

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Summary:幼児期は, 発育発達だけでなく, 生涯にわたる望ましい生活習慣, とりわけ食習慣を身につける大切な時期である1). この時期の食生活管理は主として母親に委ねられており, その影響を大きく受ける2~4)ことから, 母親の意識などが子どもの栄養や食生活状況に大きくかかわってくると考えられる. 近年, 子どもを取り巻く状況の著しい変化にともない, 幼児期における生活習慣病の問題が深刻化している. とりわけ, 思春期以降の肥満の発生に幼児肥満が深く関与しており幼児期からの肥満対策が重要といわれている5). その発症要因は多様であろうが, 食事の手伝い体験や食体験の少なさが招く生活習慣の乱れ, 食事の不規則さや偏りが要因としてあげられる6). これらの問題は, 幼児肥満に限らず生活習慣病の発生要因ともなっている. 将来の成人肥満や生活習慣病の発生を予防するには, 幼児期からの取り組みが必要でありながら, 幼児を対象としたリスクの背景にある食生活の諸因子に関する調査報告は必ずしも多くはない. 坂本ら7~9)は, 小児生活習慣病のリスクと食生活因子の関連を探ることを目的とし, 4, 5歳児を対象に1984年より継続して小児生活習慣病のスクリーニングと食物摂取状況調査および生活状況調査を実施してきた.
ISSN:0021-5147