逆Y字皮膚切開による臍形成術 (VY皮弁法) の治療成績 - アンケートによる患者満足度調査
「要旨」【目的】当科で施行した逆Y字皮膚切開による臍形成術(VY皮弁)の治療成績及び術式の有用性に関する検討を行った. 【方法】2004年4月から2018年11月までの15年間に当院で臍ヘルニアの手術を行った191例を対象に, 性別, 手術時年齢, 出生体重, 出生週数, 合併疾患, 手術時間, 術後合併症に関して後方視的に検討した. 加えて患者満足度調査として5項目からなるアンケートを実施し, 結果について解析した. 【結果】症例191例の内訳は男児94例, 女児97例で性差は認めなかった. 手術時年齢の中央値は2歳(0.16~15.50)で, 2歳が85例(44.5%)と最多であり, 就学...
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| Published in | 日本小児外科学会雑誌 Vol. 57; no. 6; pp. 938 - 945 |
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| Main Authors | , , , , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
日本小児外科学会
20.10.2021
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| Online Access | Get full text |
| ISSN | 0288-609X |
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| Summary: | 「要旨」【目的】当科で施行した逆Y字皮膚切開による臍形成術(VY皮弁)の治療成績及び術式の有用性に関する検討を行った. 【方法】2004年4月から2018年11月までの15年間に当院で臍ヘルニアの手術を行った191例を対象に, 性別, 手術時年齢, 出生体重, 出生週数, 合併疾患, 手術時間, 術後合併症に関して後方視的に検討した. 加えて患者満足度調査として5項目からなるアンケートを実施し, 結果について解析した. 【結果】症例191例の内訳は男児94例, 女児97例で性差は認めなかった. 手術時年齢の中央値は2歳(0.16~15.50)で, 2歳が85例(44.5%)と最多であり, 就学時前が183例(95.8%)と大多数を占めた. 合併疾患は鼠径ヘルニア類疾患が18例(9.4%)と最も多かった. 術後合併症としては臍周囲皮膚炎が9例(13.8%)と最も多かった. アンケート回収率は50.0%であり, 臍外観に70.6%が「大変満足」と回答した. 理想の臍外観の項目は「へこみ」(23.3%)や「大きさ」(20.0%)よりも「全体」が最も多く約半分を占めていた. 手術時年齢は満足群の方が有意に高年齢であった(p=0.032). 性別に関しては満足群に男児の割合が多い傾向にあった(p=0.007). 【結論】逆Y字皮膚切開による臍形成術は, 比較的簡単で術後満足度の高い術式である. 当術式の満足群は年齢が高い傾向にあり, 安定した満足度を得るためには手術時期を2歳以降に設定する選択肢があると思われた. 現在臍ヘルニアに対する術式は様々であるが, 各々の術式により適切な手術時期が異なる可能性もあると考えられた. |
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| ISSN: | 0288-609X |