突然死の家族歴を有する心室細動を発症した肥大型心筋症の1例

症例は50歳代, 女性. 兄が50歳代で突然死. 自宅で飲食中に意識消失. 救急隊到着時に心室細動(VF)を認めた. 自動体外式除細動器(AED)により電気的除細動を3回行ったが, VFは停止しなかった. 蘇生処置を継続しつつ前医救急外来へ搬送された. 病院到着後, さらに5回の電気的除細動を行い蘇生された. 2日後に意識は清明となった. 心エコー図上, 心室中隔から心尖部に著明な壁肥厚を認めたが, 明らかな流出路狭窄は認めなかった. アミオダロン内服下でのトレッドミル運動負荷試験では不整脈は誘発されず, 心室遅延電位は陰性であった. 心臓カテーテル検査の結果, 冠動脈は正常で左室内圧較差は認...

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Published in心臓 Vol. 43; no. SUPPL.2; pp. S2_115 - S2_120
Main Authors 永田, 義毅, 臼田, 和生, 谷口, 陽子, 西田, 哲也, 油谷, 伊佐央, 猪俣, 純一郎, 黒川, 佳祐, 丸山, 美知郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 2011
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.43.S2_115

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Summary:症例は50歳代, 女性. 兄が50歳代で突然死. 自宅で飲食中に意識消失. 救急隊到着時に心室細動(VF)を認めた. 自動体外式除細動器(AED)により電気的除細動を3回行ったが, VFは停止しなかった. 蘇生処置を継続しつつ前医救急外来へ搬送された. 病院到着後, さらに5回の電気的除細動を行い蘇生された. 2日後に意識は清明となった. 心エコー図上, 心室中隔から心尖部に著明な壁肥厚を認めたが, 明らかな流出路狭窄は認めなかった. アミオダロン内服下でのトレッドミル運動負荷試験では不整脈は誘発されず, 心室遅延電位は陰性であった. 心臓カテーテル検査の結果, 冠動脈は正常で左室内圧較差は認めなかった. 右室心尖部への連続刺激にてVFが誘発された. 本例は植込み型除細動器(ICD)移植手術を施行し退院した. 突然死の家族歴を有する肥大型心筋症(HCM)のリスク評価について, 文献的考察を加えて報告する.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.43.S2_115