ポリエチレングリコール修飾リポソーム投与時に生ずるAccelerated Blood Clearance(ABC)現象

「1. はじめに」ポリエチレングリコール(PEG)修飾リポソーム(PEGylated liposome, sterically stabilized liposome, STEALTH liposome(SL)(Fig. 1))は, 長期血中滞留性リポソームとして開発され, ドキソルビシン封入体が既にDoxilあるいはCaelyxという商品名で北米及びヨーロッパで上市されており, 1-4)本邦においても2007年2月に承認され使用が開始されている. SLの高い血中滞留性は, リポソーム表面のPEG鎖が形成する水和相とPEG鎖自体による立体障害によるものと考えられており, 5-10)このようなP...

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Published inYAKUGAKU ZASSHI Vol. 128; no. 2; pp. 233 - 243
Main Authors 石田竜弘, 際田弘志
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本薬学会 2008
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ISSN0031-6903

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Summary:「1. はじめに」ポリエチレングリコール(PEG)修飾リポソーム(PEGylated liposome, sterically stabilized liposome, STEALTH liposome(SL)(Fig. 1))は, 長期血中滞留性リポソームとして開発され, ドキソルビシン封入体が既にDoxilあるいはCaelyxという商品名で北米及びヨーロッパで上市されており, 1-4)本邦においても2007年2月に承認され使用が開始されている. SLの高い血中滞留性は, リポソーム表面のPEG鎖が形成する水和相とPEG鎖自体による立体障害によるものと考えられており, 5-10)このようなPEG鎖の作用によりリポソームとオプソニンなどの血清タンパクや単核食細胞系[mono-nuclear phagocyte system(MPS)]に属する細胞との相互作用が抑制され, このことが主たる理由であると理解されている. ところで, リポソームのみならず微粒子キャリアをDDSキャリアとして用いる場合, どのような状況で生体内に投与されたとしても, そのキャリアの生体内分布・血中動態は一定でなければならない.
ISSN:0031-6903