コレステロール神話の崩壊 -疫学調査から

1. はじめに コレステロールは低ければ低いほどいいとの神話がある. この神話は幾重もの誤謬により揺るがしがたいものになった. コレステロール低下薬であるスタチン(HMG-CoA還元酵素)の売上総額は総医療費の1%となったことで, この問題は医療経済上も極めて重要な問題となってきている. ここでは動脈硬化学会が高脂血症のガイドラインとして利用しているグラフ1)のトリックと, 日本で行われた疫学調査について概説し, 血清総コレステロール値(TC)が260mg/dL(場合によっては280)までは決して危険なものではないこと, また低コレステロール血症にもっと注目すべきであることを示す. 2. 家族...

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Published in脂質栄養学 Vol. 14; no. 1; pp. 73 - 84
Main Author 浜崎智仁
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本脂質栄養学会 2005
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ISSN1343-4594

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Summary:1. はじめに コレステロールは低ければ低いほどいいとの神話がある. この神話は幾重もの誤謬により揺るがしがたいものになった. コレステロール低下薬であるスタチン(HMG-CoA還元酵素)の売上総額は総医療費の1%となったことで, この問題は医療経済上も極めて重要な問題となってきている. ここでは動脈硬化学会が高脂血症のガイドラインとして利用しているグラフ1)のトリックと, 日本で行われた疫学調査について概説し, 血清総コレステロール値(TC)が260mg/dL(場合によっては280)までは決して危険なものではないこと, また低コレステロール血症にもっと注目すべきであることを示す. 2. 家族性高コレステロール血症を除いて検討しないと, 意味がない 要点:家族性高コレステロール血症(FH)は血清総コレステロール値が多くの場合300mg/dL以上で心筋梗塞に非常になりやすい. ところが全国民の0. 2%しかいない. そこでFHを大量に含む集団での統計は一般日本人には役立たないことになる. TCを考える際, FHは除外しして考えるべきだ.
ISSN:1343-4594