高校生における性行動と性教育に対するニーズ

【I 緒言】わが国では若者の性に関する知識や性意識については大嶺ほか(1999)の研究, 性行動の実態については木原, 木原(2003), 西村, 石神(1999), 劔(2003)の研究, 性に関する情報源などについては山田(1994), 内山(2003)の研究などがおこなわれている. 性教育における介入研究やその評価も木原ほか(2003), 劔(2001), 松沼(2003)などによっておこなわれている. これらの研究などによって若者の性行動の様々な実態や問題点が明らかにされ, 性教育プログラムの作成に役立てられてきた. 高校生の性に関する実態調査からは, 高校生のうち学校で性教育を受けた...

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Published in民族衛生 Vol. 72; no. 6; pp. 215 - 224
Main Authors 竹原健二, 三砂ちづる, 本田靖
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本民族衛生学会 2006
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ISSN0368-9395

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Summary:【I 緒言】わが国では若者の性に関する知識や性意識については大嶺ほか(1999)の研究, 性行動の実態については木原, 木原(2003), 西村, 石神(1999), 劔(2003)の研究, 性に関する情報源などについては山田(1994), 内山(2003)の研究などがおこなわれている. 性教育における介入研究やその評価も木原ほか(2003), 劔(2001), 松沼(2003)などによっておこなわれている. これらの研究などによって若者の性行動の様々な実態や問題点が明らかにされ, 性教育プログラムの作成に役立てられてきた. 高校生の性に関する実態調査からは, 高校生のうち学校で性教育を受けたことがある者は95%前後となっており(財団法人日本性教育協会, 2001), 学校ベースの性教育はほとんどの高校生に提供されていると言えよう. その一方で, 高校生男女におけるセックス経験者のうち, 避妊を毎回している者は35.5%であった(藤井, 2003). また, セックスをしている高校2年生のうち, コンドーム常時使用者は20.4~27%であった. コンドームの使用方法に関する教育を受けた経験が実際のコンドーム使用状況に効果をもたらしておらず, これまでの性教育の範囲でおこなわれていたコンドーム教育では若者の性行動を変えるという効果はあがっていないということが示唆されている(木原ほか, 2003). これらの結果は, 従来の性教育が高校生の性行動に対して十分な効果を与えることはできなかったことを示している.
ISSN:0368-9395