慢性閉塞性肺疾患のCO2換気調節に及ぼすテオフィリンの影響

慢性閉塞性肺疾患 (COPD) のCO2換気調節へ及ぼすテオフィリンの影響とその機序について検討した. 肺気腫症15例, 気管支喘息15例と健常者10例を対象に, 経口テオフィリン薬の投与前, 投与4時間後のCO2再呼吸法による換気応答能を測定した. テオフィリン投与により気管支喘息群ではVE/PACO2が, 肺気腫症群ではP0.1/PACO2の有意の上昇が認められた. 肺気腫症群ではテオフィリン投与後, P0.1は最大吸気圧 (MIPS) に比較し明らかに上昇した. 更に, テオフィリンの長期投与の影響を, 慢性閉塞性肺疾患8例, 拘束性肺疾患8例について検討した. COPDではP0.1/P...

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Published in日本胸部疾患学会雑誌 Vol. 31; no. 11; pp. 1441 - 1448
Main Authors 有冨, 貴道, 石橋, 正義, 宮原, 智子, 千手, 昭司, 豊島, 秀夫, 吉田, 稔, 池田, 昭仁, 渡辺, 憲太朗
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 社団法人 日本呼吸器学会 25.11.1993
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ISSN0301-1542
1883-471X
DOI10.11389/jjrs1963.31.1441

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Summary:慢性閉塞性肺疾患 (COPD) のCO2換気調節へ及ぼすテオフィリンの影響とその機序について検討した. 肺気腫症15例, 気管支喘息15例と健常者10例を対象に, 経口テオフィリン薬の投与前, 投与4時間後のCO2再呼吸法による換気応答能を測定した. テオフィリン投与により気管支喘息群ではVE/PACO2が, 肺気腫症群ではP0.1/PACO2の有意の上昇が認められた. 肺気腫症群ではテオフィリン投与後, P0.1は最大吸気圧 (MIPS) に比較し明らかに上昇した. 更に, テオフィリンの長期投与の影響を, 慢性閉塞性肺疾患8例, 拘束性肺疾患8例について検討した. COPDではP0.1/PPACO2は投与1週間後より有意に上昇し, 投与3ヵ月後まで効果の持続が認められた. 以上より, テオフィリン薬は気管支喘息に対しては, 主として気管支拡張作用により, 肺気腫症では主として呼吸中枢への直接的な作用により, CO2換気応答能の改善がもたらされたことが推察された.
ISSN:0301-1542
1883-471X
DOI:10.11389/jjrs1963.31.1441