非閉塞性腸管梗塞症19手術例の臨床病理学的検討

はじめに:非閉塞性腸管梗塞症19手術例について臨床病理学的に検討した.結果:年齢は48歳から88歳で, 平均74.6歳, 男性10例, 女性9例であった. 併存疾患として心血管病変を有する症例が多く, 膠原病を6例に認めた. 術前特異的な検査所見はなく, 全例に壊死腸管の切除を行い, 15例が生存退院し救命率は78.9%であった. 切除腸管の直動脈を組織学的に検討し, 内膜と中膜の比で内膜肥厚の程度をmild, moderate, severeの3段階に分類すると, それぞれ3例, 10例, 5例で, 19例中18例に, 直動脈の内膜肥厚を認めた. また膠原病の6例中3例に動脈炎の所見を認めた...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 34; no. 12; pp. 1713 - 1717
Main Authors 鈴村, 潔, 芥川, 篤史, 臼井, 達哉, 磯谷, 正敏, 鈴木, 正彦, 菅原, 元, 原田, 徹, 金岡, 祐次, 山口, 晃弘
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 2001
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.34.1713

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Summary:はじめに:非閉塞性腸管梗塞症19手術例について臨床病理学的に検討した.結果:年齢は48歳から88歳で, 平均74.6歳, 男性10例, 女性9例であった. 併存疾患として心血管病変を有する症例が多く, 膠原病を6例に認めた. 術前特異的な検査所見はなく, 全例に壊死腸管の切除を行い, 15例が生存退院し救命率は78.9%であった. 切除腸管の直動脈を組織学的に検討し, 内膜と中膜の比で内膜肥厚の程度をmild, moderate, severeの3段階に分類すると, それぞれ3例, 10例, 5例で, 19例中18例に, 直動脈の内膜肥厚を認めた. また膠原病の6例中3例に動脈炎の所見を認めた.考察:非閉塞性腸管梗塞症では, 器質的血管閉塞は認めないが, 動脈内膜肥厚や直動脈の動脈炎が発症の一因と考えられた.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.34.1713