血液透析中の高血圧に対する塩酸ジルチアゼム静注製剤の有用性の検討 ニフェジピン舌下投与との降圧作用の比較検討
血液透析 (HD) 中の高血圧に対する塩酸ジルチアゼムの降圧薬としての薬効を評価する目的で, HD中に高血圧 (原則として収縮期血圧200mmHg以上) を来す慢性腎不全HD患者11名に対し, 塩酸ジルチアゼム10mgを一回静注法 (i.v.) で使用し, 舌下投与 (s.l.) ニフェジピン10mg群との間で降圧効果や副作用等を比較検討した. 降圧作用の検討では, ジルチアゼムi.v. (Dil) 群, ニフェジピンs.l. (Nif) 群ともに全例で著明な降圧が得られた (Dil群225±20/106±12mmHg→163±32/84±12mmHg, n=28 p<0.001, Ni...
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Published in | 日本透析療法学会雑誌 Vol. 26; no. 6; pp. 1175 - 1179 |
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Main Authors | , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
社団法人 日本透析医学会
28.06.1993
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Subjects | |
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ISSN | 0911-5889 1884-6211 |
DOI | 10.4009/jsdt1985.26.1175 |
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Summary: | 血液透析 (HD) 中の高血圧に対する塩酸ジルチアゼムの降圧薬としての薬効を評価する目的で, HD中に高血圧 (原則として収縮期血圧200mmHg以上) を来す慢性腎不全HD患者11名に対し, 塩酸ジルチアゼム10mgを一回静注法 (i.v.) で使用し, 舌下投与 (s.l.) ニフェジピン10mg群との間で降圧効果や副作用等を比較検討した. 降圧作用の検討では, ジルチアゼムi.v. (Dil) 群, ニフェジピンs.l. (Nif) 群ともに全例で著明な降圧が得られた (Dil群225±20/106±12mmHg→163±32/84±12mmHg, n=28 p<0.001, Nif群230±14/110±12mmHg→140±28/90±25mmHg, n=22 p<0.001). 両群間の血圧の低下度の比較では, Nif群でDil群に比較し有意に大きかった (収縮期血圧低下度Dil群66.1±8.0mmHg vs. Nif群90.2±21.2mmHg, p<0.001). 一方, 降圧作用の持続時間は, Dil群で43±16分に対し, Nif群で70±14分と, 前者で有意に短かった (p<0.001). 副作用として, Dil群の一例に一過性徐脈の出現を認めた. 以上より, 塩酸ジルチアゼムi.v. は, HD中の高血圧に対してニフェジピンs.l. と同様に有効な降圧が得られ, ニフェジピンs.l. に比較し塩酸ジルチアゼムi.v. は, 降圧度が穏やかで作用時間が短いことが特徴であることから, 急激な降圧による心血管系合併症の発症を避けたい糖尿病性由来の慢性腎不全のHD患者等のHD中の降圧薬としては, 第一選択薬として考慮してよい薬剤と考えられた. |
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ISSN: | 0911-5889 1884-6211 |
DOI: | 10.4009/jsdt1985.26.1175 |