Paclitaxel投与後に致死的な間質性肺炎を来した再発胃癌の1例

症例は77歳の男性で, 胸部放射線療法や間質性肺炎の既往はない. 2004年8月胃癌腹膜播種転移のためPaclitaxel(以下, PXLと略記)による化学療法を施行した. 治療中, 呼吸苦を生じ, 胸部CTで両側に網状陰影を認めPXLによる間質性肺炎と診断した. ステロイドパルス療法, 人工呼吸管理を行って, 一時改善傾向を認めたが全身状態が悪化し永眠された. 癌化学療法としてのPXLによる間質性肺炎は14例の報告があり, うち本症例を含めて5 例の死亡例があった. 明らかな予後因子はなかったが本症例においてはKL-6が予後の指標として有効であった.PXLの投与を行う際には定期的な観察が必要...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 39; no. 9; pp. 1487 - 1492
Main Authors 渡辺, 五朗, 峯, 真司, 橋本, 雅司, 上野, 正紀, 澤田, 寿仁, 野口, 忠昭, 木ノ下, 義宏, 江原, 一尚, 堤, 謙二, 宇田川, 晴司
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 2006
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.39.1487

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Summary:症例は77歳の男性で, 胸部放射線療法や間質性肺炎の既往はない. 2004年8月胃癌腹膜播種転移のためPaclitaxel(以下, PXLと略記)による化学療法を施行した. 治療中, 呼吸苦を生じ, 胸部CTで両側に網状陰影を認めPXLによる間質性肺炎と診断した. ステロイドパルス療法, 人工呼吸管理を行って, 一時改善傾向を認めたが全身状態が悪化し永眠された. 癌化学療法としてのPXLによる間質性肺炎は14例の報告があり, うち本症例を含めて5 例の死亡例があった. 明らかな予後因子はなかったが本症例においてはKL-6が予後の指標として有効であった.PXLの投与を行う際には定期的な観察が必要である. さらに, つねに間質性肺炎の可能性を疑い, 発症した際は, ただちに投与を中止し治療を開始しなければならない.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.39.1487