術中硬化剤灌流法を用いた新しい食道離断術の検討 特に他2術式との比較において

食道静脈瘤症例に対し, 直達手術による静脈瘤の消退効果をより永続的にする目的から, 従来のfundic patch法応用の食道離断術に加え, 術中に硬化剤を灌流する新たな方法を考案し, その有用性を検討した. 対象は非灌流群17例, 灌流群25例, EEA群15例であった. 内視鏡成績では, 灌流群は54%に遠隔時の静脈瘤消失を認め, 本法は長期にわたる静脈瘤の消失が期待できた. 特に, 術前F3症例に対する遠隔時消失例は他2群には認められなかったのに対し, 灌流群は53%に認め, 術前F3症例は本法の適応と考えられた. 一方, 本法では, 術後食道狭窄の発生が44%と高頻度にみられたが, 5...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 22; no. 8; pp. 1945 - 1952
Main Authors 杉村, 好彦, 渡辺, 正敏
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 1989
Subjects
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.22.1945

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Summary:食道静脈瘤症例に対し, 直達手術による静脈瘤の消退効果をより永続的にする目的から, 従来のfundic patch法応用の食道離断術に加え, 術中に硬化剤を灌流する新たな方法を考案し, その有用性を検討した. 対象は非灌流群17例, 灌流群25例, EEA群15例であった. 内視鏡成績では, 灌流群は54%に遠隔時の静脈瘤消失を認め, 本法は長期にわたる静脈瘤の消失が期待できた. 特に, 術前F3症例に対する遠隔時消失例は他2群には認められなかったのに対し, 灌流群は53%に認め, 術前F3症例は本法の適応と考えられた. 一方, 本法では, 術後食道狭窄の発生が44%と高頻度にみられたが, 5%ethanolamineoleateの灌流量を3ml以下にすることで回避できると考えられた.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.22.1945