Hassab手術, 経腹的食道離断術ならびに内視鏡的硬化療法後に発生した早期胃癌に対し幽門側胃切除を施行しえた1例

食道胃静脈瘤に対するHassab手術, 経腹的食道離断術および内視鏡的硬化療法 (EIS) 後の経過観察中に早期胃癌を認め, 幽門側胃切除術を施行しえた症例を経験した. 症例は63歳の男性で, 1987年胃静脈瘤の診断でHassab手術および経腹的食道離断術, 1995年食道静脈瘤を認めEISを施行した. 1997年4月胃内視鏡検査で前庭部に早期胃癌を認め, 腹部血管造影X線検査ではHassab術後のため胃の栄養動脈は右胃・胃大網動脈であった. 同年5月19日胃癌に対して手術を施行した. 右胃・胃大網動脈および十二指腸を結紮・切離した後も胃の血行は良好であったため, 幽門側胃切除術を施行した....

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 31; no. 7; pp. 1788 - 1792
Main Authors 鈴木, 文雄, 伊藤, 均, 守谷, 孝夫, 田中, 克典, 大高, 均, 馬場, 秀文, 菅, 重尚, 高尾, 正彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 1998
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.31.1788

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Summary:食道胃静脈瘤に対するHassab手術, 経腹的食道離断術および内視鏡的硬化療法 (EIS) 後の経過観察中に早期胃癌を認め, 幽門側胃切除術を施行しえた症例を経験した. 症例は63歳の男性で, 1987年胃静脈瘤の診断でHassab手術および経腹的食道離断術, 1995年食道静脈瘤を認めEISを施行した. 1997年4月胃内視鏡検査で前庭部に早期胃癌を認め, 腹部血管造影X線検査ではHassab術後のため胃の栄養動脈は右胃・胃大網動脈であった. 同年5月19日胃癌に対して手術を施行した. 右胃・胃大網動脈および十二指腸を結紮・切離した後も胃の血行は良好であったため, 幽門側胃切除術を施行した. 病理組織診断は低分化型腺癌, 深達度sm, 術後経過は良好で第26病日に退院した. Hassab手術, 食道離断術およびEIS施行後ある程度の期間が経過した後には幽門側胃切除術は安全に行える可能性があると思われたので報告した.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.31.1788