腸回転異常症, 中腸軸捻転による腸管壊死にstaged celiotomyを行った1例
Nonrotation型の腸回転異常症, 中腸軸捻転のため大量腸管壊死を生じた高齢者に, staged celiotomyを施行した1例を報告する. 症例は83歳の女性で, 寝たきり状態. 朝より嘔吐, 夜にコーヒー残渣様となりショック状態で搬送, 壊死を伴った腸捻転として開腹した. 時計回りの中腸軸捻転で明らかに壊死した小腸から横行結腸右側を自動縫合器で切除, 断端はそのままで皮膚のみ仮閉腹した. バイタルサインは改善し翌日再開腹, Ladd手術を行ったが, 小腸側の炎症強いため腸管吻合は見合わせた. その翌々日に再々開腹, まだ炎症の強い小腸末端30cmを切除し残った130cmの小腸と横行...
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Published in | 日本消化器外科学会雑誌 Vol. 35; no. 9; pp. 1516 - 1520 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本消化器外科学会
2002
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ISSN | 0386-9768 1348-9372 |
DOI | 10.5833/jjgs.35.1516 |
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Summary: | Nonrotation型の腸回転異常症, 中腸軸捻転のため大量腸管壊死を生じた高齢者に, staged celiotomyを施行した1例を報告する. 症例は83歳の女性で, 寝たきり状態. 朝より嘔吐, 夜にコーヒー残渣様となりショック状態で搬送, 壊死を伴った腸捻転として開腹した. 時計回りの中腸軸捻転で明らかに壊死した小腸から横行結腸右側を自動縫合器で切除, 断端はそのままで皮膚のみ仮閉腹した. バイタルサインは改善し翌日再開腹, Ladd手術を行ったが, 小腸側の炎症強いため腸管吻合は見合わせた. その翌々日に再々開腹, まだ炎症の強い小腸末端30cmを切除し残った130cmの小腸と横行結腸を側側吻合した. 切除小腸には部分的に粘膜壊死が見られた. 術後経過は比較的良好であった. 腸回転異常症は高齢発症も見られることを念頭におく必要があり, またstaged celiotomyは治療上有用な選択肢であると思われた. |
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ISSN: | 0386-9768 1348-9372 |
DOI: | 10.5833/jjgs.35.1516 |