粘膜下口蓋裂患者の顎顔面および歯列弓形態 口蓋形成手術例と未手術例の比較

粘膜下口蓋裂は1825年にRouxにより初めて報告され,その後多くの研究により病態が明らかにされてきた.特に,構音障害の程度については多様なことから,症例によって口蓋形成手術の施行の有無および施行時期が異なる.従って,口蓋形成手術の顎顔面および歯列の成長発育に与える影響を評価する対象として有用な裂型と考えられる.本研究では北海道大学歯学部附属病院特殊歯科治療部口蓋裂外来を受診した粘膜下口蓋裂者11名(男子4名,女子7名)を選択し,これらの顎顔面形態および歯列弓形態について分析を行った.なお,手術例は6名で全て北海道大学歯学部附属病院口膣外科にて口蓋形成手術を施行されており,また手術の施行時期の...

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Published in日本口蓋裂学会雑誌 Vol. 22; no. 4; pp. 184 - 193
Main Authors 石川, 博之, 若尾, 二郎, 安藤, 葉介, 工藤, 元義, 福田, 博, 山本, 悠子, 岩崎, 弘志, 中村, 進治
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本口蓋裂学会 31.10.1997
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ISSN0386-5185
2186-5701
DOI10.11224/cleftpalate1976.22.4_184

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Summary:粘膜下口蓋裂は1825年にRouxにより初めて報告され,その後多くの研究により病態が明らかにされてきた.特に,構音障害の程度については多様なことから,症例によって口蓋形成手術の施行の有無および施行時期が異なる.従って,口蓋形成手術の顎顔面および歯列の成長発育に与える影響を評価する対象として有用な裂型と考えられる.本研究では北海道大学歯学部附属病院特殊歯科治療部口蓋裂外来を受診した粘膜下口蓋裂者11名(男子4名,女子7名)を選択し,これらの顎顔面形態および歯列弓形態について分析を行った.なお,手術例は6名で全て北海道大学歯学部附属病院口膣外科にて口蓋形成手術を施行されており,また手術の施行時期の範囲は1歳6カ月から4歳3カ月までであった.資料としてHellmanの歯齢III A(平均年齢8歳2カ月±8.3カ月)における側面頭部X線規格写真および歯列模型を用いて形態計測を行い,口蓋形成手術の顎顔面および歯列の成長発育に与える影響を検討した結果,以下の知見を得た. 1)手術例では,口蓋形成手術の施行年齢によらず,上顎後方部の垂直的成長の抑制が認められた. 2)未手術例では,上顎の成長は非裂健常者と差がないと考えられた. 3)口蓋形成手術の施行年齢と上顎の前方成長の抑制ならびに上顎歯列弓前方部での側方成長の抑制との問には密接な関連があることが示唆された.
ISSN:0386-5185
2186-5701
DOI:10.11224/cleftpalate1976.22.4_184