産後に肺高血圧症を発症した混合性結合組織病の1例

症例は29歳女性, 19歳時にMCTDの診断を受けた. 出産後2日目に突然, 微熱・呼吸困難が出現, 胸部X線写真にて心拡大と左第二弓の突出を, 心電図上S1Q3パターン, V1~V4誘導でのT波の逆転を認めた. 動脈血液ガス分析にてPaO2の低下・AaDO2の開大, 血液検査にて線溶系の亢進, 肺血流シンチにて左肺下葉の一部に血流低下を認めた. 肺血栓塞栓症・右心不全の診断にて, 抗凝固線溶療法および利尿剤の投与を施行した. 治療約1ヵ月後, AaDO2の正常化, 心拡大の改善を認めた時点で右心カテーテル検査を施行したが, 肺動脈平均圧45mmHgの肺高血圧症を呈していた. その後外来にて加...

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Published in日本胸部疾患学会雑誌 Vol. 33; no. 8; pp. 883 - 887
Main Authors 渡辺, 励子, 長尾, 啓一, 栗山, 喬之, 巽, 浩一郎, 岡田, 修, 内山, 隆司, 加藤, 邦彦
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 社団法人 日本呼吸器学会 25.08.1995
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ISSN0301-1542
1883-471X
DOI10.11389/jjrs1963.33.883

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Summary:症例は29歳女性, 19歳時にMCTDの診断を受けた. 出産後2日目に突然, 微熱・呼吸困難が出現, 胸部X線写真にて心拡大と左第二弓の突出を, 心電図上S1Q3パターン, V1~V4誘導でのT波の逆転を認めた. 動脈血液ガス分析にてPaO2の低下・AaDO2の開大, 血液検査にて線溶系の亢進, 肺血流シンチにて左肺下葉の一部に血流低下を認めた. 肺血栓塞栓症・右心不全の診断にて, 抗凝固線溶療法および利尿剤の投与を施行した. 治療約1ヵ月後, AaDO2の正常化, 心拡大の改善を認めた時点で右心カテーテル検査を施行したが, 肺動脈平均圧45mmHgの肺高血圧症を呈していた. その後外来にて加療を続けたが, 8ヵ月後に右心不全にて死亡した. 臨床的安定期にあると考えられるMCTD症例の中に, 出産後に肺血栓塞栓症が契機となり, 治療抵抗性の肺高血圧症を発症する症例があることの認識が重要と考えられた.
ISSN:0301-1542
1883-471X
DOI:10.11389/jjrs1963.33.883