呼吸器系由来大腸菌の赤血球凝集能 -便, 尿, 血液由来株との比較
線毛を持つ菌は動物の赤血球を凝集する性質があることが知られている. 呼吸器感染症患者から分離された大腸菌 (24株) についてヒトA型血球, モルモット血球ウシ血球, ニワトリ血球に対する凝集能を測定した. 同時に尿由来株 (64株), 便由来株 (36株), 血液由来株 (7株) についても測定し, 病原性の明らかな呼吸器由来株と血液由来株とを比較検討した. 1) 何らかの血球を凝集する頻度は全体で65%であった. 呼吸器由来株 (83%) は血液由来株 (43%) より高い凝集能を示した (p<0.1). 2) ヒトA型血球凝集: 全131株中, マンノース感受性凝集 (MS凝集)...
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          | Published in | 日本胸部疾患学会雑誌 Vol. 27; no. 2; pp. 173 - 179 | 
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| Main Authors | , , , , , | 
| Format | Journal Article | 
| Language | English Japanese  | 
| Published | 
            社団法人 日本呼吸器学会
    
        25.02.1989
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| Subjects | |
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| ISSN | 0301-1542 1883-471X  | 
| DOI | 10.11389/jjrs1963.27.173 | 
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| Summary: | 線毛を持つ菌は動物の赤血球を凝集する性質があることが知られている. 呼吸器感染症患者から分離された大腸菌 (24株) についてヒトA型血球, モルモット血球ウシ血球, ニワトリ血球に対する凝集能を測定した. 同時に尿由来株 (64株), 便由来株 (36株), 血液由来株 (7株) についても測定し, 病原性の明らかな呼吸器由来株と血液由来株とを比較検討した. 1) 何らかの血球を凝集する頻度は全体で65%であった. 呼吸器由来株 (83%) は血液由来株 (43%) より高い凝集能を示した (p<0.1). 2) ヒトA型血球凝集: 全131株中, マンノース感受性凝集 (MS凝集) 31株, マンノース耐性凝集 (MR凝集) 40株, 非凝集60株であった. 呼吸器由来株は血液由来株より高い凝集能を示したが有意の差ではなかった. 3) モルモット血球凝集: 全131株中, MS凝集56株 (type 1線毛保有株), MR凝集10株, 非凝集65株であった. 呼吸器由由来は血液凝集株に比して凝集株が多くみられ (p<0.01) その89%がMS凝集 (type 1線毛保有株) であった. 4) ウシ血球凝集: 全131株中, MS凝集4株, MR凝集6株, 非凝集121株であり凝集株は少なかった. 5) ニワトリ血球凝集: 全131株中, MS凝集39株, MR凝集27株, 非凝集65株であった. 呼吸器由来株は血液由来株より高い凝集能を示したが有意の差ではなかった. 以上, 呼吸器由来の大腸菌はモルモット血球MS凝集 (type 1線毛保有) 株が多いことからtype 1線毛は呼吸器感染症の発症に関与することが示唆された. また血液由来株に凝集株が少ないことから線毛の無いことが菌血症の発症と関連すると考えられた. | 
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| ISSN: | 0301-1542 1883-471X  | 
| DOI: | 10.11389/jjrs1963.27.173 |