皮膚筋炎にγ-グロブリン製剤が有効であった胃・大腸重複癌の1手術例
症例は64歳の男性で, 皮膚筋炎にて入院していたが, 胃癌および大腸癌の重複癌と診断され当科転科となった. 入院時理学的所見は全身に不定型発赤, 眼瞼周囲にヘリオトロープ疹を認めた. 四肢筋力低下, 嚥下障害も認めた. 検査所見はWBC 5,400/μl, CRP 2.1mg/dl, CK 5,836 IU/l, 抗Jo-1抗体は陰性であった. 術前ステロイドパルス療法を施行するも嚥下障害および皮膚症状が軽快せず, 手術を行うことが困難であった. そのためγ-グロブリン製剤20g/day ×5 days大量投与を行い, 改善傾向を認めたため胃全摘術, Hartmann手術を施行した. 術後も,...
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Published in | 日本消化器外科学会雑誌 Vol. 38; no. 2; pp. 157 - 162 |
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Main Authors | , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本消化器外科学会
2005
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Online Access | Get full text |
ISSN | 0386-9768 1348-9372 |
DOI | 10.5833/jjgs.38.157 |
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Summary: | 症例は64歳の男性で, 皮膚筋炎にて入院していたが, 胃癌および大腸癌の重複癌と診断され当科転科となった. 入院時理学的所見は全身に不定型発赤, 眼瞼周囲にヘリオトロープ疹を認めた. 四肢筋力低下, 嚥下障害も認めた. 検査所見はWBC 5,400/μl, CRP 2.1mg/dl, CK 5,836 IU/l, 抗Jo-1抗体は陰性であった. 術前ステロイドパルス療法を施行するも嚥下障害および皮膚症状が軽快せず, 手術を行うことが困難であった. そのためγ-グロブリン製剤20g/day ×5 days大量投与を行い, 改善傾向を認めたため胃全摘術, Hartmann手術を施行した. 術後も, プレドニゾロンを10mg/weekずつ減量することができた. ステロイド投与にもかかわらず, 改善を認めなかった嚥下障害に対し, 術前大量γ-グロブリン製剤を使用し改善が得られ, 術後誤嚥性肺炎や縫合不全などの合併症を認めなかったことより, γ-グロブリン製剤は有効であると思われた. |
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ISSN: | 0386-9768 1348-9372 |
DOI: | 10.5833/jjgs.38.157 |