無蛋白培養液にて増殖可能な線維肉腫株の分泌因子による自己増殖抑制

無蛋白培養液にて増殖可能なマウス線維肉腫 Gc-4 PF細胞に conditioned medium 濃縮液 (CM) を添加して培養すると, 今まで多く報告されている結果とは異なり, 細胞が障害され増殖が抑制されることをdye exclusion法と3- (4, 5-dimethylthiazo1-2-yl) -2, 5-diphenyl tetrazolium bromide (MTT) 法にて確認した.増殖の抑制効果は, 培養開始時の細胞数が多いほど早期に認められたので分泌因子によるものと考えられた.Hoechst33342にて染色した細胞をフローサイトメトリーで検索したところ, CMの...

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Published in北関東医学 Vol. 45; no. 6; pp. 503 - 513
Main Author 斯波, 俊祐
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 北関東医学会 01.11.1995
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ISSN0023-1908
1883-6135
DOI10.2974/kmj1951.45.503

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Summary:無蛋白培養液にて増殖可能なマウス線維肉腫 Gc-4 PF細胞に conditioned medium 濃縮液 (CM) を添加して培養すると, 今まで多く報告されている結果とは異なり, 細胞が障害され増殖が抑制されることをdye exclusion法と3- (4, 5-dimethylthiazo1-2-yl) -2, 5-diphenyl tetrazolium bromide (MTT) 法にて確認した.増殖の抑制効果は, 培養開始時の細胞数が多いほど早期に認められたので分泌因子によるものと考えられた.Hoechst33342にて染色した細胞をフローサイトメトリーで検索したところ, CMの添加により小型高染色細胞が有意に増加し, アポトーシスを誘発することが示唆された.しかしながら, DNAの断片化は, 高分子量のレベルでむしろ抑制されていた.細胞周期を調べると, CMの添加によりS期の細胞が約10%減り, G2/M期の細胞が増加したが, phase特異的な細胞周期の静止状態は明らかではなかった.以上の結果より, 蛋白非依存性培養株である線維肉腫細胞は, 自己の死を導く因子を分泌していることが示唆された.さらにその死滅過程は, クロマチンの変化には依存しないタイプのアポトーシスの関与が考えられた.
ISSN:0023-1908
1883-6135
DOI:10.2974/kmj1951.45.503