パンコースト症候群を呈した胸膜悪性リンパ腫の1例
症例は79歳男性. 既往歴, 結核性胸膜炎. 左肩痛を主訴に入院後, 左鎖骨上窩に腫瘤性病変が出現し, 左のホルネル症候群と左上肢の筋力低下, 筋萎縮を認めた. 左鎖骨上窩リンパ節生検で非ホジキンリンパ腫 (B細胞系, びまん性大細胞型) と診断された. 胸部X線, CT で左肺尖部の著明な胸膜肥厚像を認め, 同部位から連続性に左鎖骨上窩に進展し, パンコースト症候群を呈したものと考えた. 化学療法で腫瘍の著明な縮小と臨床症状の改善を認めたが, 4クール施行後に重症肺炎を併発し死亡した. 近年, 本邦において結核性胸膜病変に発生した悪性リンパ腫の症例が数多く報告され, 両疾患間に何らかの因果関...
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| Published in | 日本胸部疾患学会雑誌 Vol. 34; no. 1; pp. 85 - 89 |
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| Main Authors | , , |
| Format | Journal Article |
| Language | English Japanese |
| Published |
社団法人 日本呼吸器学会
25.01.1996
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| Subjects | |
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| ISSN | 0301-1542 1883-471X |
| DOI | 10.11389/jjrs1963.34.85 |
Cover
| Summary: | 症例は79歳男性. 既往歴, 結核性胸膜炎. 左肩痛を主訴に入院後, 左鎖骨上窩に腫瘤性病変が出現し, 左のホルネル症候群と左上肢の筋力低下, 筋萎縮を認めた. 左鎖骨上窩リンパ節生検で非ホジキンリンパ腫 (B細胞系, びまん性大細胞型) と診断された. 胸部X線, CT で左肺尖部の著明な胸膜肥厚像を認め, 同部位から連続性に左鎖骨上窩に進展し, パンコースト症候群を呈したものと考えた. 化学療法で腫瘍の著明な縮小と臨床症状の改善を認めたが, 4クール施行後に重症肺炎を併発し死亡した. 近年, 本邦において結核性胸膜病変に発生した悪性リンパ腫の症例が数多く報告され, 両疾患間に何らかの因果関係が推測されている. 本疾患は局所への浸潤傾向が強く, 発生部位や浸潤方向により多彩な症状を呈することが想定された. |
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| ISSN: | 0301-1542 1883-471X |
| DOI: | 10.11389/jjrs1963.34.85 |