100歳の急性呼吸窮迫症候群を併発したupside down stomachに対し腹腔鏡手術により根治しえた1例

症例は100歳の女性で,主訴は吐血.誤嚥性肺炎の重症化に伴い当院救急部集中治療部へ入院,入院時胸腹部CTにてupside down stomachを呈した食道裂孔ヘルニアの診断となった.誤嚥性肺炎重症化による急性呼吸窮迫症候群の治療を行い,全身状態の改善を得た後に手術施行した.腹腔鏡下に腹腔内を検索すると,ヘルニア内容は胃と大網であった.脱出した胃および大網を腹腔内へ牽引・還納した後,食道裂孔を縫縮,Toupet法による噴門形成術を施行し胃を固定した.経過良好にて術後13日で退院した.本症例は100歳という超高齢者かつ急性呼吸窮迫症候群を併発していたが,全身状態の改善が得られ,upside d...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 44; no. 11; pp. 1389 - 1396
Main Authors 森, 幹人, 池田, 憲政, 阿久津, 泰典, 織田, 成人, 松原, 久裕, 羽成, 直行, 林, 秀樹, 首藤, 潔彦, 貞廣, 智仁, 川平, 洋
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.11.2011
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.44.1389

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Summary:症例は100歳の女性で,主訴は吐血.誤嚥性肺炎の重症化に伴い当院救急部集中治療部へ入院,入院時胸腹部CTにてupside down stomachを呈した食道裂孔ヘルニアの診断となった.誤嚥性肺炎重症化による急性呼吸窮迫症候群の治療を行い,全身状態の改善を得た後に手術施行した.腹腔鏡下に腹腔内を検索すると,ヘルニア内容は胃と大網であった.脱出した胃および大網を腹腔内へ牽引・還納した後,食道裂孔を縫縮,Toupet法による噴門形成術を施行し胃を固定した.経過良好にて術後13日で退院した.本症例は100歳という超高齢者かつ急性呼吸窮迫症候群を併発していたが,全身状態の改善が得られ,upside down stomachを呈した食道裂孔ヘルニアに対し腹腔鏡下手術を施行し,良好な結果を得られた非常にまれな症例であったため,若干の文献的考察を含めて報告する.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.44.1389