絞扼性イレウスと急性輸入脚閉塞症を来した胃全摘術後の腸管結節形成症の1例

症例は78歳の女性で,9年前に胃癌に対する胃全摘術(脾摘併施・前結腸性Roux-en Y再建)の既往がある.深夜からの腹痛・悪心を主訴に当科を受診し,造影CTにて胃全摘時の空腸空腸端側吻合部(Y吻合部)に関連した内ヘルニアによる絞扼性イレウス・急性輸入脚閉塞症と診断した.緊急開腹すると,胃全摘時の再建挙上空腸脚(Y脚)が過長で,これが脾摘後の左横隔膜に癒着して腸管係蹄を形成しており,これにY吻合部以下の小腸係蹄が巻付いて結節を形成し,Y吻合部がこれに巻込まれて輸入脚閉塞を来していた.診断は腸管結節形成症であった.結節を解除すると,鬱血していたY脚と小腸の血行は改善したが,Treitz靭帯直後の...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 44; no. 10; pp. 1256 - 1263
Main Authors 志田, 崇, 高橋, 誠, 小笠原, 猛, 野村, 悟, 大塚, 恭寛
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.10.2011
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.44.1256

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Summary:症例は78歳の女性で,9年前に胃癌に対する胃全摘術(脾摘併施・前結腸性Roux-en Y再建)の既往がある.深夜からの腹痛・悪心を主訴に当科を受診し,造影CTにて胃全摘時の空腸空腸端側吻合部(Y吻合部)に関連した内ヘルニアによる絞扼性イレウス・急性輸入脚閉塞症と診断した.緊急開腹すると,胃全摘時の再建挙上空腸脚(Y脚)が過長で,これが脾摘後の左横隔膜に癒着して腸管係蹄を形成しており,これにY吻合部以下の小腸係蹄が巻付いて結節を形成し,Y吻合部がこれに巻込まれて輸入脚閉塞を来していた.診断は腸管結節形成症であった.結節を解除すると,鬱血していたY脚と小腸の血行は改善したが,Treitz靭帯直後の輸入脚後壁に穿孔を認めた.穿孔部を縫合閉鎖し,Y脚の横隔膜への癒着を剥離して係蹄を直線化し,チューブ十二指腸瘻を造設した.術後,腸瘻部のminor leakageを併発したが,27日目に軽快退院した.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.44.1256