肝腎症候群に対するterlipressinによる治療経験

肝腎症候群の治療としてterlipressinを投与した肝硬変患者8例の治療効果について検討した.Terlipressin 1~3 mg/日の静注とアルブミン (12.5~37.5g/日) の併用投与を平均4.0 (1~14) 日間行った.Terlipressinとアルブミンの投与により, 尿量と尿中Na排泄量は増加し, クレアチニンは2.43 mg/dlから1.81 mg/dlへ低下し, クレアチニンクリアランスは14.5 ml/minから28.7 ml/minへ上昇し, 血漿レニン活性は低下した.副作用として下痢を5例に認めた.また, 腹痛を3例に認め, このうち1例では投与量の減量を,...

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Published in日本門脈圧亢進症学会雑誌 Vol. 12; no. 4; pp. 285 - 290
Main Authors 滝, 保彦, 城所, 秀子, 中塚, 雄久, 厚川, 正則, 楢原, 義之, 松下, 洋子, 片倉, 玲樹, 坂本, 長逸, 金沢, 秀典, 張本, 滉智, 福田, 健, 木村, 祐
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本門脈圧亢進症学会 2006
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ISSN1344-8447
2186-6376
DOI10.11423/jsph1999.12.4_285

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Summary:肝腎症候群の治療としてterlipressinを投与した肝硬変患者8例の治療効果について検討した.Terlipressin 1~3 mg/日の静注とアルブミン (12.5~37.5g/日) の併用投与を平均4.0 (1~14) 日間行った.Terlipressinとアルブミンの投与により, 尿量と尿中Na排泄量は増加し, クレアチニンは2.43 mg/dlから1.81 mg/dlへ低下し, クレアチニンクリアランスは14.5 ml/minから28.7 ml/minへ上昇し, 血漿レニン活性は低下した.副作用として下痢を5例に認めた.また, 腹痛を3例に認め, このうち1例では投与量の減量を, 1例では投与の中止を必要とした.肝腎症候群に対するterlipressinとアルブミンの投与により有効循環血液量は増加し, 糸球体濾過値の上昇, 尿量の増加, クレアチニンの低下が得られた.Terlipressinによる重篤な副作用は認めず, 本剤は肝腎症候群治療薬として安全に使用できるものと思われた.
ISSN:1344-8447
2186-6376
DOI:10.11423/jsph1999.12.4_285