ライソゾーム病症例における気道病変の検討

ライソゾーム病は,細胞内のライソゾームに数多く存在する分解酵素の一つが欠損するためにおこる病気で,欠損する酵素により異なる症状が出現するが,上気道病変により耳鼻咽喉科的対応が求められる疾患が多い。 千葉県こども病院耳鼻咽喉科を受診したライソゾーム病の患者,ムコ多糖症 8 例,ゴーシェ病 6 例,ムコリピドーシスII型(I–cell 病)5 例,その他 5 例を対象として検討した。 現在までに気管切開または喉頭気管分離を施行した症例は,ムコ多糖症 2 例,ゴーシェ病 2 例,I–cell 病 2 例,その他 1 例の計 7 例であった。ムコ多糖症の 2 例では気管内へのムコ多糖の沈着による気管狭...

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Published in小児耳鼻咽喉科 Vol. 31; no. 1; pp. 54 - 58
Main Authors 有本, 友季子, 吉江, うらら, 仲野, 敦子, 工藤, 典代
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本小児耳鼻咽喉科学会 2010
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ISSN0919-5858
2186-5957
DOI10.11374/shonijibi.31.54

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Summary:ライソゾーム病は,細胞内のライソゾームに数多く存在する分解酵素の一つが欠損するためにおこる病気で,欠損する酵素により異なる症状が出現するが,上気道病変により耳鼻咽喉科的対応が求められる疾患が多い。 千葉県こども病院耳鼻咽喉科を受診したライソゾーム病の患者,ムコ多糖症 8 例,ゴーシェ病 6 例,ムコリピドーシスII型(I–cell 病)5 例,その他 5 例を対象として検討した。 現在までに気管切開または喉頭気管分離を施行した症例は,ムコ多糖症 2 例,ゴーシェ病 2 例,I–cell 病 2 例,その他 1 例の計 7 例であった。ムコ多糖症の 2 例では気管内へのムコ多糖の沈着による気管狭窄が著明で気管切開後も気道管理に難渋していた。その他の例では気管切開後は現在まで大きな気道のトラブルは見られていなかった。 ライソゾーム病患者に対する適切な気道病変の評価と個々の症例に合わせた気道管理が重要であると考えられた。
ISSN:0919-5858
2186-5957
DOI:10.11374/shonijibi.31.54