未熟児早期貧血に対する輸血
未熟児は, 40週という在胎期間を通して母体から賦与されるべき造血栄養素の出生時の備蓄が不十分なこと, 赤血球産生系の調節機構が未熟なこと, 赤血球膜の抗酸化機構が不備なこと, 出生後の体重増加が急速で成熟児よりも造血必要量が大きいことなど多くのハンディキャップをもっているため, 新生児に本来存在するsubclinical anemiaが強調される. その結果, 生体が最低限必要とするレベル以下まで赤血球が減少し貧血(低酸素血症)の臨床症状が発現することが稀ではない. ことに最近は新生児医療の中心が, 出生時体重1,500g未満の極小未熟児の管理に移行しているため, 貧血をはじめとする血液学的...
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          | Published in | 日本輸血学会雑誌 Vol. 40; no. 5; pp. 804 - 807 | 
|---|---|
| Main Authors | , | 
| Format | Journal Article | 
| Language | Japanese | 
| Published | 
            一般社団法人 日本輸血・細胞治療学会
    
        01.11.1994
     日本輸血学会  | 
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| ISSN | 0546-1448 1883-8383  | 
| DOI | 10.3925/jjtc1958.40.804 | 
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| Summary: | 未熟児は, 40週という在胎期間を通して母体から賦与されるべき造血栄養素の出生時の備蓄が不十分なこと, 赤血球産生系の調節機構が未熟なこと, 赤血球膜の抗酸化機構が不備なこと, 出生後の体重増加が急速で成熟児よりも造血必要量が大きいことなど多くのハンディキャップをもっているため, 新生児に本来存在するsubclinical anemiaが強調される. その結果, 生体が最低限必要とするレベル以下まで赤血球が減少し貧血(低酸素血症)の臨床症状が発現することが稀ではない. ことに最近は新生児医療の中心が, 出生時体重1,500g未満の極小未熟児の管理に移行しているため, 貧血をはじめとする血液学的管理が以前にも増して重要な課題となっている. 未熟児貧血は, その原因から, 早期貧血(赤血球産成系の特異性), 後期貧血(鉄の欠乏), 巨赤芽球性貧血(葉酸の欠乏), 溶血性貧血(ビタミンEの欠乏)に大別されるが, 極小未熟児の場合でも巨赤芽球性貧血と溶血性貧血をきたすことはきわめて少ない. また, 後期貧血は出生後2~4週より鉄剤を投与することにより予防できるので臨床的には大きな問題でない. | 
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| ISSN: | 0546-1448 1883-8383  | 
| DOI: | 10.3925/jjtc1958.40.804 |