右室ペーシングからup gradeした症例における心臓再同期療法の長期効果 新規植込み症例との比較検討

背景: 長期の右室ペーシングは心機能を低下させ心不全を惹起することがある. このような症例に心臓再同期療法(CRT)への “up grade” が有用であることが報告されたが, “up grade” 症例の患者背景, 長期効果および予後は, いまだ十分に明らかではない. 方法: 対象は右室ペーシングからCRTへのup gradeを施行した11例(up grade群)と左脚ブロックを有する難治性心不全に対し新規にCRTを施行した30例(de novo群). 患者背景, CRT前後の急性期血行動態変化および長期治療効果(左室リモデリング[左室収縮末期容積15%以上減少]の有無と観察期間中の心血管関...

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Published in心臓 Vol. 42; no. SUPPL.4; pp. S4_201 - S4_207
Main Authors 井藤, 葉子, 夛田, 浩, 五十嵐, 都, 黒木, 健司, 成瀬, 代士久, 山崎, 浩, 町野, 毅, 小澤, 真人, 関口, 幸夫, 青沼, 和隆
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 2010
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.42.S4_201

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Summary:背景: 長期の右室ペーシングは心機能を低下させ心不全を惹起することがある. このような症例に心臓再同期療法(CRT)への “up grade” が有用であることが報告されたが, “up grade” 症例の患者背景, 長期効果および予後は, いまだ十分に明らかではない. 方法: 対象は右室ペーシングからCRTへのup gradeを施行した11例(up grade群)と左脚ブロックを有する難治性心不全に対し新規にCRTを施行した30例(de novo群). 患者背景, CRT前後の急性期血行動態変化および長期治療効果(左室リモデリング[左室収縮末期容積15%以上減少]の有無と観察期間中の心血管関連イベント)を両群間で比較した. 結果: Up grade群はde novo群に比して, CRT前のQRS幅(p<0.05), 左室駆出率(p<0.01), ならびに2次性心筋症を有する頻度(p<0.05)が大きかった. しかしながらCRT前の左室同期不全の程度(p=0.69), CRT前の急性期血行動態値(p=0.99), あるいは, その変化率(p=0.83)には両群間に差を認めなかった. 植込み後6カ月時点の左室リモデリングの程度(p=0.28)および観察期間中(1~276カ月)の心血管関連イベントの発生率にも両群間に差(p=0.63)は認めなかった. 結語: 左心機能低下症例に対する右室ペーシングからCRTへのup gradeは新規植込み症例と同等の急性期および長期効果が期待できる.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.42.S4_201