手術適応規準内症例の食道静脈瘤に対する内視鏡的硬化療法の検討

肝予備能の保たれている (child-PughA, B群) 食道静脈瘤症例166例に対して施行した内視鏡的硬化療法 (EIS) の成績を検討した.方法は内視鏡装着駆血用バルーンを使用し, 透視下で行う高瀬方式に準じた.静脈瘤完全消失率は95.8%, 完全消失後の17年累積再発率は6.5%, 術後静脈瘤出血率は1.3%という好成績であった.合併症の面からもEISによる治療死はみられず, 術後3日以上の絶食を要した食道潰瘍と, 拡張術を必要としない軽度の食道狭窄が4.2%に認められたのみで, 生命, 他臓器に影響を及ぼすような重大合併症の発生はなかった.巨木型静脈瘤症例も6例全例で静脈瘤は完全消失...

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Published in日本門脈圧亢進症学会雑誌 Vol. 7; no. 2; pp. 77 - 83
Main Authors 岩田, 滉一郎, 中尾, 國明, 太田, 裕彦, 金井, 弘一, 松本, 裕子, 松本, 正廣, 籏原, 照昌
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本門脈圧亢進症学会 30.08.2001
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ISSN1344-8447
2186-6376
DOI10.11423/jsph1999.7.2_77

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Summary:肝予備能の保たれている (child-PughA, B群) 食道静脈瘤症例166例に対して施行した内視鏡的硬化療法 (EIS) の成績を検討した.方法は内視鏡装着駆血用バルーンを使用し, 透視下で行う高瀬方式に準じた.静脈瘤完全消失率は95.8%, 完全消失後の17年累積再発率は6.5%, 術後静脈瘤出血率は1.3%という好成績であった.合併症の面からもEISによる治療死はみられず, 術後3日以上の絶食を要した食道潰瘍と, 拡張術を必要としない軽度の食道狭窄が4.2%に認められたのみで, 生命, 他臓器に影響を及ぼすような重大合併症の発生はなかった.巨木型静脈瘤症例も6例全例で静脈瘤は完全消失し, 12年累積再発率, 出血率はともに0%という結果であった.以上の結果はこれまで報告のあった外科的治療, 内視鏡的静脈瘤結紮術 (EVL) より優れたものであり, 肝予備能良好例や巨木型静脈瘤であっても, 食道静脈瘤に対してはEISを第一選択とすべきである.
ISSN:1344-8447
2186-6376
DOI:10.11423/jsph1999.7.2_77