難治性褥瘡におけるピオクタニン®の有用性

現在, MRSAによる感染を伴った褥瘡部位の除菌にはポピドンヨード(イソジン(R)(明治製菓(株)), 白糖-ポピドンヨード配合軟膏(ユーパスタコーワ(R)(興和(株)), スルファジアジン銀(ゲーベンクリーム(R)(三菱ウェルファーマ(株))などが一般的に使用されている. しかし, ヨウ素製剤(イソジン(R), ユーパスタコーワ(8R)は浸出液の影響により容易に失活するため1), 期待する効果が得られない場合が多い. ピオクタニン(R)(片山化学(株)(塩化メチルロザニリン)はトリフェニルメタン系色素として1860年頃に合成されたもので, 1890年Stillingによって治療に用いられ,...

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Published in医療薬学 Vol. 32; no. 1; pp. 55 - 59
Main Authors 大野, 静子, 中村, 護, 桐林, 芳江, 船越, 幸代, 大和, 浩之, 下野, 研一, 渡邉, 義久
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人日本医療薬学会 10.01.2006
日本医療薬学会
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ISSN1346-342X
1882-1499
DOI10.5649/jjphcs.32.55

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Summary:現在, MRSAによる感染を伴った褥瘡部位の除菌にはポピドンヨード(イソジン(R)(明治製菓(株)), 白糖-ポピドンヨード配合軟膏(ユーパスタコーワ(R)(興和(株)), スルファジアジン銀(ゲーベンクリーム(R)(三菱ウェルファーマ(株))などが一般的に使用されている. しかし, ヨウ素製剤(イソジン(R), ユーパスタコーワ(8R)は浸出液の影響により容易に失活するため1), 期待する効果が得られない場合が多い. ピオクタニン(R)(片山化学(株)(塩化メチルロザニリン)はトリフェニルメタン系色素として1860年頃に合成されたもので, 1890年Stillingによって治療に用いられ, 局所の殺菌, 消毒薬として使用された2). また, ピオクタニン(R)は, グラム陽性菌やカンジダに対し選択的に殺菌作用を示すことから, 口内炎や感染部位の消毒に用いられていたが, ピオクタニン潰瘍や皮膚障害が報告された, ため3-7), その使用頻度は減少した. しかし, 色素系消毒剤(ピオクタニン(R), アクリノール8, 9)など)は低濃度では生体組織に刺激を与えず, 抗菌力は深達性であり, 血清蛋白下でも作用は減弱されにくく, また持続的な抗菌力をもつことなどにより, 再びその有用性が見直されている10). 今回, ポピドンヨード消毒が無効であると考えられたMRSA感染を伴う難治性褥瘡に対し, ピオクタニン製剤を調製し臨床効果を検討したところ, 良好な成績が得られたので報告する.
ISSN:1346-342X
1882-1499
DOI:10.5649/jjphcs.32.55