中学校理科授業における資質・能力の育成の特徴 実験計画の立案を重視した授業を例に

本研究は,理科における教科固有の知識・技能の習得に加え,様々な資質・能力が授業の中でどのように発揮・活用・育成されているかを明らかにすることを目的としている。そのために,中学校1年生を対象に5種類の未知のプラスチックを区別する実験を取り入れた探究的な授業の実践を行い,実践した授業が「汎用的スキル」および「態度・価値」の資質・能力の向上に寄与する可能性を,録画した授業映像に基づき作成したトランスクリプトの分析,生徒へのインタビューの分析,アンケート調査を用いて検討した。実験計画から実験の考察に至るまでの生徒のトランスクリプトの分析,および授業後に行った抽出生徒のインタビューの分析から,「実験計画...

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Published in理科教育学研究 Vol. 60; no. 2; pp. 317 - 331
Main Authors 宮内, 卓也, 髙田, 太樹, 田邊, 裕子, 中野, 幸夫, 鎌田, 正裕
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本理科教育学会 29.11.2019
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ISSN1345-2614
2187-509X
DOI10.11639/sjst.sp18019

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Summary:本研究は,理科における教科固有の知識・技能の習得に加え,様々な資質・能力が授業の中でどのように発揮・活用・育成されているかを明らかにすることを目的としている。そのために,中学校1年生を対象に5種類の未知のプラスチックを区別する実験を取り入れた探究的な授業の実践を行い,実践した授業が「汎用的スキル」および「態度・価値」の資質・能力の向上に寄与する可能性を,録画した授業映像に基づき作成したトランスクリプトの分析,生徒へのインタビューの分析,アンケート調査を用いて検討した。実験計画から実験の考察に至るまでの生徒のトランスクリプトの分析,および授業後に行った抽出生徒のインタビューの分析から,「実験計画の立案」に焦点を置いた本授業は,「先を見通す力」などの汎用的スキルの向上につながる可能性が示された。また,日常的な素材を実験の中で取り上げることで,「好奇心・探究心」など態度・価値の育成につながる可能性が示された。さらに,単元開始前,本時授業終了後,および単元終了後に学習の様子を生徒が自己評価する質問紙調査を実施しそれぞれを分析したところ,汎用的スキルおよび態度・価値はそれぞれ相互に影響を与え合って発揮・活用・育成されていく可能性が示された。
ISSN:1345-2614
2187-509X
DOI:10.11639/sjst.sp18019