無症候性嚢状未破裂動脈瘤治療の問題点

「はじめに」未破裂脳動脈瘤が発見される機会が増えているが, 発見された場合どのような治療方針を選ぶかについては, 患者則を納得させられるような十分なevidenceが医師側になく, 訴訟問題などとも相まって症例ごとに困難な選択を迫られているのが現状である. 今回は, これまでに当院で無症候性未破裂嚢状動脈瘤に対して行ってきたクリッピング, コイル塞栓術, 経過観察の各方針に伴う問題点について検討したので報告する. 「対象と方法」1993年12月1日の開院以来2005年3月31日までに229例の無症候性嚢状未破裂動脈瘤を経験した. これらの症例に対する治療適応の原則は, 現在の「脳ドックのガイド...

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Published in脳卒中の外科 Vol. 34; no. 4; pp. 252 - 256
Main Authors 小宮山, 雅樹, 吉村, 政樹, 山中, 一浩, 本田, 雄二, 松阪, 康弘, 安井, 敏裕, 岩井, 謙育
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中の外科学会 2006
日本脳卒中の外科学会
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ISSN0914-5508
1880-4683
DOI10.2335/scs.34.252

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Summary:「はじめに」未破裂脳動脈瘤が発見される機会が増えているが, 発見された場合どのような治療方針を選ぶかについては, 患者則を納得させられるような十分なevidenceが医師側になく, 訴訟問題などとも相まって症例ごとに困難な選択を迫られているのが現状である. 今回は, これまでに当院で無症候性未破裂嚢状動脈瘤に対して行ってきたクリッピング, コイル塞栓術, 経過観察の各方針に伴う問題点について検討したので報告する. 「対象と方法」1993年12月1日の開院以来2005年3月31日までに229例の無症候性嚢状未破裂動脈瘤を経験した. これらの症例に対する治療適応の原則は, 現在の「脳ドックのガイドライン2003」6)とほぼ同じ考え方である. すなわち, 1)硬膜内に存在すること, 2)あまり小さくない(3mm以上), 3)あまり高齢でない(70歳以下), 4)健康であり全身麻酔下に手術を行ううえで問題となるような重篤な内科的疾患がない, 5)十分な説明ののちの同意, の5項目を満たした場合としてきた.
ISSN:0914-5508
1880-4683
DOI:10.2335/scs.34.252