法人税率の引き下げがコストの下方硬直性に与える影響

本研究は,日本における法人税率の引き下げがコストの下方硬直性に与える影響を実証的に明らかにする。日本における法人税率は,近年段階的な引き下げが実施されてきた。法人税率の変更は,企業の法人税負担へ直接影響を及ぼし,低税率が適用される期間に所得を移転させるインセンティブを与える。このため,法人税率の引き下げ前の高税率が適用される期間において,コストの下方硬直性がより強くなると予想される。2008年から2023年の日本企業を対象にした分析の結果,法人税率の引き下げが,販売費及び一般管理費の下方硬直性に影響を与えることが明らかになった。加えて,法人税率の引き下げの影響は,税負担の高い企業で見られること...

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Published in会計プログレス Vol. 2025; no. 26; pp. 19 - 34
Main Authors 安間 陽加, 加藤 大智
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本会計研究学会 2025
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ISSN2189-6321
2435-9947
DOI10.34605/jaa.2025.26_19

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Summary:本研究は,日本における法人税率の引き下げがコストの下方硬直性に与える影響を実証的に明らかにする。日本における法人税率は,近年段階的な引き下げが実施されてきた。法人税率の変更は,企業の法人税負担へ直接影響を及ぼし,低税率が適用される期間に所得を移転させるインセンティブを与える。このため,法人税率の引き下げ前の高税率が適用される期間において,コストの下方硬直性がより強くなると予想される。2008年から2023年の日本企業を対象にした分析の結果,法人税率の引き下げが,販売費及び一般管理費の下方硬直性に影響を与えることが明らかになった。加えて,法人税率の引き下げの影響は,税負担の高い企業で見られることが明らかになった。
ISSN:2189-6321
2435-9947
DOI:10.34605/jaa.2025.26_19