人に健康影響を及ぼす環境 生活環境・水分野におけるSDG健康関連指標の課題

「持続可能な開発目標 3 」(SDG3)では,保健医療分野に関する評価・モニタリング指標の提示が求められている.本研究では,生活環境関連分野における指標の定義を確認するとともに,一般環境から労働環境までを対象に,WHO報告書から環境リスクが指摘される化合物及び物理的因子に関する国内の文献レビューを行った.その結果,室内寒暖差と死亡率との関連性や,準揮発性有機化合物(SVOC)の室内濃度や湿度環境とアレルギー疾患との関連性,大気中の微小粒子状物質と呼吸器・循環器系疾患との関連性が示唆された.また,指標3.9.2「安全ではない水,安全ではない公衆衛生及び衛生知識による死亡」はTier Iであるが,...

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Published in保健医療科学 Vol. 70; no. 3; pp. 262 - 272
Main Authors 浅見, 真理, 戸次, 加奈江, 児玉, 知子, 欅田, 尚樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 国立保健医療科学院 31.08.2021
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ISSN1347-6459
2432-0722
DOI10.20683/jniph.70.3_262

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Summary:「持続可能な開発目標 3 」(SDG3)では,保健医療分野に関する評価・モニタリング指標の提示が求められている.本研究では,生活環境関連分野における指標の定義を確認するとともに,一般環境から労働環境までを対象に,WHO報告書から環境リスクが指摘される化合物及び物理的因子に関する国内の文献レビューを行った.その結果,室内寒暖差と死亡率との関連性や,準揮発性有機化合物(SVOC)の室内濃度や湿度環境とアレルギー疾患との関連性,大気中の微小粒子状物質と呼吸器・循環器系疾患との関連性が示唆された.また,指標3.9.2「安全ではない水,安全ではない公衆衛生及び衛生知識による死亡」はTier Iであるが,過去30年間の国内水質事故事例の情報収集等をもとにした水系感染症死亡事例による推計値は,国連指定のコーディングによる報告値よりも極めて低く,WHOのWASH定義疾病コードが開発国の状況を基にした定義となっていることが示唆された.
ISSN:1347-6459
2432-0722
DOI:10.20683/jniph.70.3_262