老人の歯周病の実態 歯周病関連細菌に対するIgG抗体

老化を総合的に表わす指標はいまだない。しかし, 老化は自己認識機構の変化であると考える説もあり, 老化が免疫機構と強く関係していることはまちがいない。歯周病の病態は, 歯周ポケット内に常在する歯周病関連細菌に対する宿主の反応 (防御反応) によって規制されている。歯周病患者の体液性免疫応答は宿主の防御反応の一つの表現型であり, 歯周病の病態を特徴づける指標となり得る可能性がある。 本研究は, 歯周病関連細菌に対するIgG抗体から老人の歯周病の病態を把握しようとするものである。 被験者は, 岡山大学歯周病科受診患者502人, 2つの農業主体の町村の歯科検診受診者52人および479人, らい療養所...

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Published in老年歯科医学 Vol. 3; no. 1; pp. 20 - 26
Main Authors 水島, ゆみ, 野村, 慶雄, 永井, 淳, 村山, 洋二, 岡村, 和則, 原田, 禹雄, 光田, 由可, 杉山, 雅昭, 新庄, 文明
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本老年歯科医学会 1989
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ISSN0914-3866
1884-7323
DOI10.11259/jsg1987.3.20

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Summary:老化を総合的に表わす指標はいまだない。しかし, 老化は自己認識機構の変化であると考える説もあり, 老化が免疫機構と強く関係していることはまちがいない。歯周病の病態は, 歯周ポケット内に常在する歯周病関連細菌に対する宿主の反応 (防御反応) によって規制されている。歯周病患者の体液性免疫応答は宿主の防御反応の一つの表現型であり, 歯周病の病態を特徴づける指標となり得る可能性がある。 本研究は, 歯周病関連細菌に対するIgG抗体から老人の歯周病の病態を把握しようとするものである。 被験者は, 岡山大学歯周病科受診患者502人, 2つの農業主体の町村の歯科検診受診者52人および479人, らい療養所入園者231人, 精神病院入院患者の歯科受診者122人, 総数1, 386人である。これらの被験者の血清の, Actinobacillus actinomycetemcomitans Y 4 (Aa), Bacteroides gingivalis 381 (Bg), Capnocytophaga ochrace a S3 (Co) に対するIgG抗体を酵素免疫測定法 (ELISA) を用いて測定し, 以下の結果を得た。 1. Aa, Bgに対する抗体価は, 年齢と負の相関を示した。 2. 残存歯数は加齢と負の相関を示した。 3. 被験者を, 老人および老人以外の2集団に分けたとき, 老人集団のBgに対する抗体価は臨床症状と関連するものがいくつかあった。 4. 老人の抗体価は, 社会的環境要因とは関連が弱かった。
ISSN:0914-3866
1884-7323
DOI:10.11259/jsg1987.3.20