胸椎部靱帯骨化症の術後検討
「はじめに」胸椎部靱帯骨化症は稀な疾患であるが, 進行すれば痙性対麻痺を来すことがある. 今回, 当院にて過去15年間に手術治療を行った症例につき検討を行った. 対象及び方法 症例は20例, 男10例, 女10例である. 年齢は46才~77才, 平均58才. 術後経過観察期間は2ヵ月~12年, 平均5年7ヵ月. 結果 (1)臨床症状 初発症状は, 下肢しびれ感15例, 知覚低下2例, 筋力低下を主訴とした物もあった. 発症から手術までの期間は1ヵ月~2年, 平均8.3ヵ月. 術前症状は, 脱力8例, しびれ感14例で歩行障害が出現していた. 骨化のレベルは, OPLL単独例は, 頚椎から連続し...
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| Published in | 整形外科と災害外科 Vol. 45; no. 4; pp. 1197 - 1199 |
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| Main Authors | , , , , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
西日本整形・災害外科学会
1996
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| Online Access | Get full text |
| ISSN | 0037-1033 |
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| Summary: | 「はじめに」胸椎部靱帯骨化症は稀な疾患であるが, 進行すれば痙性対麻痺を来すことがある. 今回, 当院にて過去15年間に手術治療を行った症例につき検討を行った. 対象及び方法 症例は20例, 男10例, 女10例である. 年齢は46才~77才, 平均58才. 術後経過観察期間は2ヵ月~12年, 平均5年7ヵ月. 結果 (1)臨床症状 初発症状は, 下肢しびれ感15例, 知覚低下2例, 筋力低下を主訴とした物もあった. 発症から手術までの期間は1ヵ月~2年, 平均8.3ヵ月. 術前症状は, 脱力8例, しびれ感14例で歩行障害が出現していた. 骨化のレベルは, OPLL単独例は, 頚椎から連続しているか, あるいは上位胸椎に存在, OYLとの合併例は中~下位胸椎に, OYL単独例は全例下位胸椎に存在していた(図1). (2)神経学的所見 筋力低下17例, 全例股関節から存在し, 筋力3以下が13例にみられた. 知覚低下は17例, 下位胸椎病変13例では病巣より1~2髄節下位, 上中位胸椎病変4例ではそれ以上下位に存在していた. 下肢深部腱反射はPTRは全例亢進, ATRは3例が正常~低下を示し, 腰部脊柱管狭窄症の合併が示唆された. バビンスキー徴候は全例陽性であった. (3)手術と術後成績 手術は全例に黄色靱帯骨化を含めた椎弓切除術を行った. 1例に後側方よりOPLLの削除, 局所後弯が進行した1例に前方固定を追加した. |
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| ISSN: | 0037-1033 |