麻酔科医からの術前NPO (禁飲食) 指示と術前食事療養の考え方

[要旨] 術前の禁飲食(nothing per os: NPO)は, 周術期の誤嚥防止のため実施されてきた. 最近の術後の回復力強化策ERAS(Enhanced Recovery after Surgery)の考え方の普及と世界各国の術前絶飲食ガイドラインの公表により, NPO時間が短縮化されつつある. 術前のNPO時間の短縮と脱水補正および栄養補給は, 術後の回復力を強化し, 在院期間の短縮につながる療養といえる. 日本における通常の診療は保険医療制度(診療報酬体系)により規定されており, いわゆる「食事療養」も保険局医療課長通知により規定されている. 麻酔科医も食事療養や食事箋による指示の...

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Published in日本臨床麻酔学会誌 Vol. 35; no. 2; pp. 272 - 278
Main Authors 横田美幸, 森野良蔵, 大里彰二郎, 関誠
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床麻酔学会 14.03.2015
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ISSN0285-4945

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Summary:[要旨] 術前の禁飲食(nothing per os: NPO)は, 周術期の誤嚥防止のため実施されてきた. 最近の術後の回復力強化策ERAS(Enhanced Recovery after Surgery)の考え方の普及と世界各国の術前絶飲食ガイドラインの公表により, NPO時間が短縮化されつつある. 術前のNPO時間の短縮と脱水補正および栄養補給は, 術後の回復力を強化し, 在院期間の短縮につながる療養といえる. 日本における通常の診療は保険医療制度(診療報酬体系)により規定されており, いわゆる「食事療養」も保険局医療課長通知により規定されている. 麻酔科医も食事療養や食事箋による指示の方法など, 制度として決められている仔細に関心を持つべきである. また日本麻酔科学会より, "術前の「食事療養」に関する考え方について" の中で, 経口補水液や栄養補助食の指示を行う場合の留意点が示されており, この点も知っておく必要がある.
ISSN:0285-4945