特発性小児小脳出血の2例
小脳出血は, 脳内血腫の約10%を占めるといわれているが, 小児(15才以下)の報告はきわめて少ない. 最近我々は2例の小児小脳出血を経験したので報告し, 小児小脳出血の病因および治療などにつき文献的考察を加えた. 症例 症例1:2才男児. 家族歴, 既往歴ともに特記すべきものはない. 昭和54年9月1日, 遊んでいて転倒し, 軽度に頭部を打撲したが, 意識障害なく元気に遊んでいた. 翌2日朝嘔吐出現, その後次第に頻回となり, また気嫌が悪くなったり, 歩行時転倒しやすくなった. 9月3日精査のため当科に入院した. 入院時やや元気はないが意識は清明であり, 軽度の失調性歩行を呈した以外は,...
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| Published in | Neurologia medico-chirurgica Vol. 21; no. 4; pp. 419 - 425 |
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| Main Authors | , , , , , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
日本脳神経外科学会
1981
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| Online Access | Get full text |
| ISSN | 0470-8105 |
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| Summary: | 小脳出血は, 脳内血腫の約10%を占めるといわれているが, 小児(15才以下)の報告はきわめて少ない. 最近我々は2例の小児小脳出血を経験したので報告し, 小児小脳出血の病因および治療などにつき文献的考察を加えた. 症例 症例1:2才男児. 家族歴, 既往歴ともに特記すべきものはない. 昭和54年9月1日, 遊んでいて転倒し, 軽度に頭部を打撲したが, 意識障害なく元気に遊んでいた. 翌2日朝嘔吐出現, その後次第に頻回となり, また気嫌が悪くなったり, 歩行時転倒しやすくなった. 9月3日精査のため当科に入院した. 入院時やや元気はないが意識は清明であり, 軽度の失調性歩行を呈した以外は, 特記すべき神経症状はなかった. 出血傾向を示唆する所見は認めなかった. 9月4日CTスキャン(以下CTと略す)を施行した. 小脳虫部にmass effectを伴ったhigh density areaを認め, 造影剤注入後もcontrast enhancementなく, 小脳出血と診断した. その後次第に元気を回復し, 歩行障害も改善したため, 小脳出血の原因に対する検索を予定していたが, 9月9日朝, 頻回の嘔吐が出現し, 傾眠傾向となった. |
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| ISSN: | 0470-8105 |