'日本における胆石の新しい分類 (1986)' による肉眼的胆石種別判定の問題点 - 化学分析結果による解析と考察

要旨: 胆嚢内結石225例につき, 「胆石分類」(日消病会1986)に基づく肉眼的胆石種別判定結果と化学成分分析結果を比較し考察を加えた. 「純コ石」にはビリルビンカルシウムや炭酸カルシウムを含む'コ系混合石'もあり, 「混合石」でもほぼコレステロール成分のみの'極コ石'も多く見られた. 成分量比率は単純に肉眼種別とは一致しなかった. すなわち「胆石分類」は成分量を数字で表すよりも, 大まかに'コ系'と'ビ系', '色素系'に分けることには有用であると考えられた. 一方「黒色色素石」とされる&#...

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Published in胆道 Vol. 31; no. 2; pp. 205 - 213
Main Authors 渡邊五朗, 橋本雅司, 松田正道
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本胆道学会 31.05.2017
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ISSN0914-0077

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Summary:要旨: 胆嚢内結石225例につき, 「胆石分類」(日消病会1986)に基づく肉眼的胆石種別判定結果と化学成分分析結果を比較し考察を加えた. 「純コ石」にはビリルビンカルシウムや炭酸カルシウムを含む'コ系混合石'もあり, 「混合石」でもほぼコレステロール成分のみの'極コ石'も多く見られた. 成分量比率は単純に肉眼種別とは一致しなかった. すなわち「胆石分類」は成分量を数字で表すよりも, 大まかに'コ系'と'ビ系', '色素系'に分けることには有用であると考えられた. 一方「黒色色素石」とされる'黒色, 黒緑色調で, 小型不定形, 割面無構造'の結石についてはすべての成分の結石でも見られうる肉眼像であることが判明した. この点は「黒色色素石」を論ずる際には「胆石分類」は無効であり, 化学分析によって'黒色色素'であることを確定しておく必要があることを意味していると考えられた.
ISSN:0914-0077