母指CM関節症に対するSilastic Trapezium Implantの経験

「はじめに」母指手根中手骨関節(以下, CM関節)は, 母指のピンチ運動において, 大きな力がかかり, 比較的高頻度に変形性関節症を発生する. 1983年11月以来我々は, 保存療法に反応しない母指CM関節症に対し単に痛みを取り除くのみでなく, 良好な可動域を獲得できるSilastic Trapezium Implant Arthroplastyを関節症の程度に応じて行ってきた. しかし近年その生体内での副作用が問題となっており4), アメリカでは製造が禁止された. これを機会に中, 長期経過観察例を中心に検討したので報告する. 対象および方法 対象は, 男性1名女性7名の計8名, 右5関節,...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 46; no. 3; pp. 804 - 808
Main Authors 寺本憲市郎, 中島英親, 平野哲也, 武田浩志, 米満弘之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 1997
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ISSN0037-1033

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Summary:「はじめに」母指手根中手骨関節(以下, CM関節)は, 母指のピンチ運動において, 大きな力がかかり, 比較的高頻度に変形性関節症を発生する. 1983年11月以来我々は, 保存療法に反応しない母指CM関節症に対し単に痛みを取り除くのみでなく, 良好な可動域を獲得できるSilastic Trapezium Implant Arthroplastyを関節症の程度に応じて行ってきた. しかし近年その生体内での副作用が問題となっており4), アメリカでは製造が禁止された. これを機会に中, 長期経過観察例を中心に検討したので報告する. 対象および方法 対象は, 男性1名女性7名の計8名, 右5関節, 左3関節で対象疾患は, 変形性関節症7例, 慢性関節リウマチ1例である. 手術時年齢は48歳から76歳(平均63.3歳)経過観察期間は6ヵ月から13年6ヵ月(平均7年5ヵ月)であった. 術前のX線写真によるEaton分類はStage II4手, Stage III4手であった(表1). 手術方法は, 大菱形骨を摘出し, 小菱形骨をImplantが十分な適合性を得るように部分的に切除し, 第一中手骨に挿入する. 関節包の状態によっては橈側手根伸筋腱を半切しStabilizerとした(図1). 術後評価は, X線撮影, 疼痛, 関節可動域, 握力, ピンチ力, 日常生活動作(10項目), 患者の満足度にて行った.
ISSN:0037-1033