内視鏡的経鼻膵管ドレナージ(ENPD)留置下膵液細胞診が診断に有用であったTS1膵癌の1例

「要旨」: 80歳代男性. 各種画像検査で主膵管, 総胆管の拡張を認め, 膵頭部に約10mm大の腫瘤性病変が疑われたが不明瞭であった. 内視鏡的経鼻膵管ドレナージ(ENPD)チューブを留置し, 5回目の膵液細胞診で腺癌疑いの細胞を認め手術を施行. 病理診断は, TS1(14mm)の膵癌であった. ENPDチューブ留置により, 頻回の膵液細胞診が施行できるので, 本法は小膵癌の診断に, 特に有用である. 「はじめに」膵癌は消化器癌の中で最も予後不良な疾患のひとつである. 予後改善のためには, 早期診断, 早期治療(切除)が極めて重要であるが, 診断困難なケースも多い. 今回我々は, 内視鏡的経鼻...

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Published in膵臓 Vol. 28; no. 4; pp. 599 - 605
Main Authors 後藤田達洋, 藤井雅邦, 山本久美子, 伊藤守, 石山修平, 藤原明子, 吉岡正雄, 能勢聡一郎, 塩出純二, 三村哲重, 糸島達也
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本膵臓学会 25.08.2013
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ISSN0913-0071

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Summary:「要旨」: 80歳代男性. 各種画像検査で主膵管, 総胆管の拡張を認め, 膵頭部に約10mm大の腫瘤性病変が疑われたが不明瞭であった. 内視鏡的経鼻膵管ドレナージ(ENPD)チューブを留置し, 5回目の膵液細胞診で腺癌疑いの細胞を認め手術を施行. 病理診断は, TS1(14mm)の膵癌であった. ENPDチューブ留置により, 頻回の膵液細胞診が施行できるので, 本法は小膵癌の診断に, 特に有用である. 「はじめに」膵癌は消化器癌の中で最も予後不良な疾患のひとつである. 予後改善のためには, 早期診断, 早期治療(切除)が極めて重要であるが, 診断困難なケースも多い. 今回我々は, 内視鏡的経鼻膵管ドレナージ(ENPD)チューブ留置下膵液細胞診が診断に有用であったTS1膵癌の1例を経験したので報告する. 「症例」患者: 80歳代, 男性. 主訴: 主膵管拡張精査目的. 既往歴: 胃癌術後(Billroth I法)(13年前), 高血圧, C型肝炎, 糖尿病.
ISSN:0913-0071