陳旧性足関節靭帯損傷における関節包縫縮術の適応について

「はじめに」陳旧性足関節外側靱帯損傷に対する靭帯再建術は数多く発表されているがそのほとんどは腓骨筋腱等の健常組織を犠牲にするものであり, しかも正確な解剖学的靭帯付着部に再建するものではない2). 我々もこれまで主にLee変法1)を施行してきたが, スポーツ活動度がさほど高くない症例では靭帯が弛緩, 瘢痕化してはいるものの良好な強度が残存している場合も多かった. そこで今回この残存靭帯組織を縫合しさらに関節包縫縮を加える方法を症例を選んで施行し新鮮例に対する端々縫合の場合と治療成績について比較し有用性を検討したので報告する. 対象 対象は15例16関節で, 陳旧例が5例6関節, 男性2例3関節...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 47; no. 1; pp. 327 - 332
Main Authors 浪平辰州, 伊勢紘平, 工藤勝司
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 1998
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ISSN0037-1033

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Summary:「はじめに」陳旧性足関節外側靱帯損傷に対する靭帯再建術は数多く発表されているがそのほとんどは腓骨筋腱等の健常組織を犠牲にするものであり, しかも正確な解剖学的靭帯付着部に再建するものではない2). 我々もこれまで主にLee変法1)を施行してきたが, スポーツ活動度がさほど高くない症例では靭帯が弛緩, 瘢痕化してはいるものの良好な強度が残存している場合も多かった. そこで今回この残存靭帯組織を縫合しさらに関節包縫縮を加える方法を症例を選んで施行し新鮮例に対する端々縫合の場合と治療成績について比較し有用性を検討したので報告する. 対象 対象は15例16関節で, 陳旧例が5例6関節, 男性2例3関節, 女性3例3関節, 新鮮例が10例10関節, 男性4例4関節, 女性6例6関節である(表1). 年齢は陳旧例が平均29歳, 新鮮例が平均22.5歳. 受傷から手術までの期間は陳旧例では平均10.8ケ月, 新鮮例では平均7.5日. 臨床評価時期は陳旧例が術後平均8.5ケ月後, 新鮮例が術後平均7.8ケ月後であった. 受傷原因は陳旧例ではスポーツ外傷が2例, 階段昇降平地歩行, 遊び中の捻挫外傷が各々1例, はっきりした受傷機転が不明なものが1例であった.
ISSN:0037-1033