一般的な使用法 : デスフルランによる麻酔導入と維持 (1) 急速導入と維持, 緩徐導入と維持, 導入中と維持中の注意点

[要旨] デスフルランは高濃度投与で気道刺激症状の頻度が増加するため緩徐導入は推奨しない. 急速導入での使用は他の吸入麻酔薬と同様だが, 十分な意識消失までは高濃度使用を避ける. 術中維持は呼気終末麻酔ガス濃度0.7MAC以上を目安とする. クリアランスが早いため手術終了前の漸減は不要である. 血管拡張作用, 誘発電位抑制作用, 悪性高熱発症の可能性など多くの特徴は他の吸入麻酔薬に類似する. 気管支拡張作用はあるが, 咳反射による気道抵抗上昇に注意する. 高濃度投与で交感神経刺激作用があり心拍数の上昇を見ることがある. 二酸化炭素吸収剤と反応し一酸化炭素を生成するため強アルカリを軽減した吸着剤...

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Published in日本臨床麻酔学会誌 Vol. 36; no. 3; pp. 368 - 374
Main Author 佐藤暢一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床麻酔学会 14.05.2016
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ISSN0285-4945

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Summary:[要旨] デスフルランは高濃度投与で気道刺激症状の頻度が増加するため緩徐導入は推奨しない. 急速導入での使用は他の吸入麻酔薬と同様だが, 十分な意識消失までは高濃度使用を避ける. 術中維持は呼気終末麻酔ガス濃度0.7MAC以上を目安とする. クリアランスが早いため手術終了前の漸減は不要である. 血管拡張作用, 誘発電位抑制作用, 悪性高熱発症の可能性など多くの特徴は他の吸入麻酔薬に類似する. 気管支拡張作用はあるが, 咳反射による気道抵抗上昇に注意する. 高濃度投与で交感神経刺激作用があり心拍数の上昇を見ることがある. 二酸化炭素吸収剤と反応し一酸化炭素を生成するため強アルカリを軽減した吸着剤の使用が推奨される. 「I 急速導入~麻酔維持開始」静脈麻酔薬を使用した急速導入の場合, 基本的に従来の揮発性麻酔薬と変わりはない. 静脈麻酔薬としてプロポフォール1~2.5mg/kg, 鎮痛薬としてフェンタニル1~2μg/kg, またはレミフェンタニル1μg/kgあるいは0.2~0.5μg/kg/minを投与し, ロクロニウム0.6~0.9mg/kgによって筋弛緩を得たのちに気管挿管を行う.
ISSN:0285-4945