末梢神経損傷例における大脳運動ニューロンの興奮性の変化について

はじめに 一般的には一次運動ニューロンの障害では二次運動ニューロンは変性しないとされている.しかしながら,二次運動ニューロンの障害で,一次運動ニューロンの興奮性にどの様な変化が生じるのかは明らかにされていない.Sanesら2)はratを用いて上肢切断後に,大脳皮質の運動ニューロンの支配分布に変化を生じることを実験的に証明した.その後,人においても経頭蓋磁気刺激による運動誘発電位のmappingを用いて,脊髄損傷患者や上肢切断者において運動野の分布が変化することが報告されるようになった1)3).しかしながら片側上肢の末梢神経神経がすべて障害された状態での一次運動ニューロンの興奮性がどの様な経過を...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 51; no. 2; pp. 367 - 369
Main Authors 金子和生, 田口敏彦, 豊田耕一郎, 大藤 晃, 上野宏泰, 河合伸也
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 2002
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ISSN0037-1033

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Summary:はじめに 一般的には一次運動ニューロンの障害では二次運動ニューロンは変性しないとされている.しかしながら,二次運動ニューロンの障害で,一次運動ニューロンの興奮性にどの様な変化が生じるのかは明らかにされていない.Sanesら2)はratを用いて上肢切断後に,大脳皮質の運動ニューロンの支配分布に変化を生じることを実験的に証明した.その後,人においても経頭蓋磁気刺激による運動誘発電位のmappingを用いて,脊髄損傷患者や上肢切断者において運動野の分布が変化することが報告されるようになった1)3).しかしながら片側上肢の末梢神経神経がすべて障害された状態での一次運動ニューロンの興奮性がどの様な経過をたどるのか検討した報告はない.今回,腕神経叢麻痺全型症例を対象として,片側上肢の末梢神経障害における大脳運動ニューロンの興奮性の変化を,経頭蓋磁気刺激による脊髄誘発電位を用いて検討した. 対象および方法 対象は術中の神経連続性検査のために頚椎部に硬膜外カテーテル電極を挿入した全型腕神経叢麻痺の3例を末梢神経障害群とした.腕神経麻痺患者はいずれも受傷後6ヵ月以内の症例であった.
ISSN:0037-1033