頚動脈ステント後の慢性期再狭窄の特徴とその要因の検討

頚動脈ステント留置術(CAS)後, 慢性期での再狭窄はときに経験されるが, その特徴, 要因, 好発時期などに関しては不明な点が多い. 今回, CAS後慢性期の再狭窄に関してその背景因子, 特徴などをretrospectiveに検討した. 2008年4月から2018年5月まで当院で施行したCAS連続216例のうち, 術後12カ月以上follow upした症例182例を対象とした. 平均年齢は72.8歳で観察期間は12-128カ月, 平均52.7カ月であった. このうち再狭窄を認めたのは13例(7.1%)で, 12カ月以内が8例であったが, 13カ月以後でも5例認め, 最長81カ月であった. 症...

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Published in脳卒中の外科 Vol. 51; no. 1; pp. 13 - 19
Main Authors 鈴木宰, 福岡俊樹, 粟屋尭之, 松尾衛, 中島拓真
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本脳卒中の外科学会 31.01.2023
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ISSN0914-5508

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Summary:頚動脈ステント留置術(CAS)後, 慢性期での再狭窄はときに経験されるが, その特徴, 要因, 好発時期などに関しては不明な点が多い. 今回, CAS後慢性期の再狭窄に関してその背景因子, 特徴などをretrospectiveに検討した. 2008年4月から2018年5月まで当院で施行したCAS連続216例のうち, 術後12カ月以上follow upした症例182例を対象とした. 平均年齢は72.8歳で観察期間は12-128カ月, 平均52.7カ月であった. このうち再狭窄を認めたのは13例(7.1%)で, 12カ月以内が8例であったが, 13カ月以後でも5例認め, 最長81カ月であった. 症候性再狭窄は4例(2.2%)で, 3例はCAS後6カ月以内, そのうち2例は抗血小板剤を減量してから1カ月程度であった. 多変量解析にて再狭窄を認めた群は有意に年齢が低かった(p=0.011, OR 1.13)が, それ以外は両群に差はなかった. また, 再狭窄群のほうが有意にfollow up中の同側の虚血性脳卒中の発生が多かった(p=0.0011, OR 18.3). CAS後の再狭窄は術後1年以内が比較的多いが, 長期間経過後に出現することもあり, 同側の虚血性脳卒中の原因となり得る. 特に抗血小板剤減量後一定期間内では症候性再狭窄となることがあり, 術後1年以内の慎重な管理が重要と考えられた.
ISSN:0914-5508