転移による直腸狭窄像を伴った進行・再発乳癌(浸潤性小葉癌)の2例

症例1は68歳,女性.直腸狭窄によるイレウスで入院.左乳房C領域に径4.3×4.7cm大の浸潤癌を認め,左乳癌からの転移も疑われた.全麻下に左乳房の腫瘤摘出および試験開腹施行.腸間膜に播種性病変を認め,小腸狭窄も認めたため,小腸部分切除およびバイパス施行し, S状結腸に人工肛門を造設した.組織所見では,原発巣に浸潤性乳管癌と浸潤性小葉癌が併存しており,腹腔内播種性病変の生検では,浸潤性小葉癌のみがみられた. 症例2は66歳,女性.左乳癌にて胸筋温存乳房切除施行.病理診断は,浸潤性小葉癌(印環細胞癌) n (23/27)であった.術後腫瘍マーカーの上昇に対して精査したが,明らかな転移を検出できな...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 66; no. 1; pp. 41 - 45
Main Authors 田村, 光, 小島, 正夫, 前田, 真悟, 杉浦, 功一, 斉藤, 建, 池田, 信良
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 日本臨床外科学会 25.01.2005
Subjects
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.66.41

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Summary:症例1は68歳,女性.直腸狭窄によるイレウスで入院.左乳房C領域に径4.3×4.7cm大の浸潤癌を認め,左乳癌からの転移も疑われた.全麻下に左乳房の腫瘤摘出および試験開腹施行.腸間膜に播種性病変を認め,小腸狭窄も認めたため,小腸部分切除およびバイパス施行し, S状結腸に人工肛門を造設した.組織所見では,原発巣に浸潤性乳管癌と浸潤性小葉癌が併存しており,腹腔内播種性病変の生検では,浸潤性小葉癌のみがみられた. 症例2は66歳,女性.左乳癌にて胸筋温存乳房切除施行.病理診断は,浸潤性小葉癌(印環細胞癌) n (23/27)であった.術後腫瘍マーカーの上昇に対して精査したが,明らかな転移を検出できなかった.注腸で直腸に狭窄を認めたため,内視鏡施行したところ,印環細胞癌を認めた.試験開腹時,腹腔内全体に播種性結節を認めたため,同部の生検および横行結腸人工肛門造設した.組織像は,原発,直腸生検と同様で乳癌転移と診断された.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.66.41