補助人工心臓(VAS)離脱症例の回復過程におけるVASが身体及び心理社会的側面に及ぼす影響の考察

全身状態の悪化した心臓移植適応患者において補助人工心臓(VAS)装着は身体面の改善に有効であるが, 装着患者のQOLは必ずしも満足すべきものではない。当施設では現在までに心臓移植適応の5例にVAS装着を行った。今回VAS装着により心機能の回復を認め, VASより離脱できた2例のうち, 最近の1例において, QOLの身体的側面と心理社会的側面をSIPで, さらに心の健康の指標となる抑うつの評価をSDSを用いて行った。その結果, 身体的側面はVAS装着により衝撃は増大するが, ADL拡大に伴い軽減し, VAS離脱後も全身状態が安定していたことにより衝撃はさらに軽減した。心理社会的側面においては,...

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Published in人工臓器 Vol. 27; no. 1; pp. 17 - 19
Main Authors 山口, 陽子, 水上, ちえみ, 上薗, 恵子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本人工臓器学会 15.02.1998
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ISSN0300-0818
1883-6097
DOI10.11392/jsao1972.27.17

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Summary:全身状態の悪化した心臓移植適応患者において補助人工心臓(VAS)装着は身体面の改善に有効であるが, 装着患者のQOLは必ずしも満足すべきものではない。当施設では現在までに心臓移植適応の5例にVAS装着を行った。今回VAS装着により心機能の回復を認め, VASより離脱できた2例のうち, 最近の1例において, QOLの身体的側面と心理社会的側面をSIPで, さらに心の健康の指標となる抑うつの評価をSDSを用いて行った。その結果, 身体的側面はVAS装着により衝撃は増大するが, ADL拡大に伴い軽減し, VAS離脱後も全身状態が安定していたことにより衝撃はさらに軽減した。心理社会的側面においては, VAS装着からADL拡大まで身体的側面と同様の変化を示したが, VASが長期化すれば再び衝撃は増加していく傾向にある事がわかった。SDSにおいては, 本症例ではVAS装着・離脱での影響を認めなかった
ISSN:0300-0818
1883-6097
DOI:10.11392/jsao1972.27.17