尿路結石症における蓚酸に関する研究 III キシリトール負荷の血中および尿中蓚酸への影響
キシリトール大量輸液により蓚酸カルシウム結晶が組織に沈着することが報告され, キシリトールが蓚酸代謝に関係することが示唆された. 蓚酸カルシウム結石群12人と対照群7人にキシリトールを投与し, 蓚酸代謝を調べる目的で尿中及び血漿蓚酸を測定した. 10時間空腹状態とした患者に5%キシリトール500mlを2時間で点滴したところ, 尿中蓚酸排泄は直ちに増加した. キシリトール点滴開始より3時間での尿中蓚酸排泄量の増加は結石群が2.92±1.59mg (SD) で, 対照群が2.25±1.48mg (SD) であつた. 一方尿中蓚酸濃度は点滴中は低下し, 点滴終了後は上昇した. キシリトール投与前の血...
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Published in | 日本泌尿器科學會雑誌 Vol. 72; no. 12; pp. 1553 - 1558 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
社団法人 日本泌尿器科学会
20.12.1981
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ISSN | 0021-5287 1884-7110 |
DOI | 10.5980/jpnjurol1928.72.12_1553 |
Cover
Summary: | キシリトール大量輸液により蓚酸カルシウム結晶が組織に沈着することが報告され, キシリトールが蓚酸代謝に関係することが示唆された. 蓚酸カルシウム結石群12人と対照群7人にキシリトールを投与し, 蓚酸代謝を調べる目的で尿中及び血漿蓚酸を測定した. 10時間空腹状態とした患者に5%キシリトール500mlを2時間で点滴したところ, 尿中蓚酸排泄は直ちに増加した. キシリトール点滴開始より3時間での尿中蓚酸排泄量の増加は結石群が2.92±1.59mg (SD) で, 対照群が2.25±1.48mg (SD) であつた. 一方尿中蓚酸濃度は点滴中は低下し, 点滴終了後は上昇した. キシリトール投与前の血漿蓚酸値は結石群が2.64±0.43mg/lで, 対照群が2.29±0.92mg/lであつた. キシリトール負荷終了時の血漿蓚酸値は結石群が2.64±0.62mg/lで, 対照群が2.81±0.56mg/lであつた. キシリトール負荷試験の結果より結石群と対照群の間に蓚酸代謝上の相違は認められなかつた. |
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ISSN: | 0021-5287 1884-7110 |
DOI: | 10.5980/jpnjurol1928.72.12_1553 |