グローバルな視点からみた食物繊維の定義,測定方法およびエネルギー値
1987年8月3日,米国食品医薬品局(FDA)は食物繊維について初めて言及した「食品栄養表示;エネルギー値」に関する最終規則を発行した(Federal Register,Vol.52,No.148,p.28690-1)。これを受け,食品製造業者は食品のエネルギー値を計算する際に,炭水化物から消化されない食物繊維(AOAC法985.29によって定量)を差し引くことができるようになった。後にこれは,エネルギー値を計算する前に炭水化物から不溶性食物繊維のみを差し引く,と改訂された。 1993年に栄養表示法が施行された際,米国FDAと米国農務省(USDA)はAOAC定量法を特に同法の条文中に組み入れた...
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Published in | 日本食物繊維研究会誌 Vol. 6; no. 1; pp. 1 - 8 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | English Japanese |
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一般社団法人 日本食物繊維学会
30.06.2002
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ISSN | 1343-1994 2186-5108 |
DOI | 10.11217/jjdf1997.6.1 |
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Summary: | 1987年8月3日,米国食品医薬品局(FDA)は食物繊維について初めて言及した「食品栄養表示;エネルギー値」に関する最終規則を発行した(Federal Register,Vol.52,No.148,p.28690-1)。これを受け,食品製造業者は食品のエネルギー値を計算する際に,炭水化物から消化されない食物繊維(AOAC法985.29によって定量)を差し引くことができるようになった。後にこれは,エネルギー値を計算する前に炭水化物から不溶性食物繊維のみを差し引く,と改訂された。 1993年に栄養表示法が施行された際,米国FDAと米国農務省(USDA)はAOAC定量法を特に同法の条文中に組み入れた。その食物繊維定量法では,DP10以上の消化されない全多糖類とリグニンを含む。1994年には国際的科学者調査の結果,食物繊維として称される多糖類の長さはヒト小腸で消化されないDP3以上の全ての多糖類と変えるべきだとCereal Foods World(39,No.10,767-768)の論文中で提案された。この提案が食物繊維を厳密に定義しようと試みているいくつかの機関に,食物繊維は元来「小腸で消化されず,そして残った一部あるいは全部が大腸で代謝されるものである」,と心に留め置かせる結果となった。 アメリカ穀物化学者学会(AACC)の専門委員会は一年間にわたる調査から,食物繊維を「DP3以上の多糖類十リグニンを基本とする」と定義した。オーストラリア・ニュージーランド食品局(ANZFA)は同様の定義を提案した。英国の食品基準局は,エングリスト法を廃止して食物繊維のAOAC定量法とイヌリン・オリゴフラクトースのAOAC定量法を食物繊維量表示に採用することを提案した(つまりDP3以上の容認を意味する)。全米科学アカデミー医学研究所(NAS-14M)ではFDAとカナダ保健省との契約下,一つの定義を決定した。それは食物繊維(dietary fiber)と添加繊維(added fiber)を区別し,その2つを合算したものが全繊維(total fiber)というもので,それにはDP3以上の多糖類全てとリグニンが含まれる。定義,定量法,エネルギー値の表示法について詳細に述べる。 |
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ISSN: | 1343-1994 2186-5108 |
DOI: | 10.11217/jjdf1997.6.1 |