尿路結石症の発生原因に対する内分泌学的検討 第6報 腸管カルシウム吸収型高カルシウム尿症の病態について

「腸管Ca吸収型」高Ca尿症 (AH) の成因はビタミンDの保有量が多いためか, ビタミンDに対する腸粘膜の感受性が亢進しているためと考えた. そこで正常Ca尿症 (NC) とAHとの間のビタミン保有量をほぼ同量にする目的で活性型ビタミンDを充分量に投与した状態を設定しCa負荷試験をした. その結果を従来までの検査結果 (第4報, 本誌, 71, 1349, 1980) と比較しながら本症の成因を考察した. 対象・方法: AH37例, HC22例に対し高Ca含有食の摂品を1週間制限した (その間の平均摂取最は約250mg/日). 検査3日前から連日PM9時に活性型ビタミンDを3μg投与した....

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Published in日本泌尿器科學會雑誌 Vol. 74; no. 9; pp. 1575 - 1582
Main Authors 井口, 正典, 片岡, 喜代徳, 八竹, 直, 栗田, 孝, 郡, 健二郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 社団法人 日本泌尿器科学会 20.09.1983
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ISSN0021-5287
1884-7110
DOI10.5980/jpnjurol1928.74.9_1575

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Summary:「腸管Ca吸収型」高Ca尿症 (AH) の成因はビタミンDの保有量が多いためか, ビタミンDに対する腸粘膜の感受性が亢進しているためと考えた. そこで正常Ca尿症 (NC) とAHとの間のビタミン保有量をほぼ同量にする目的で活性型ビタミンDを充分量に投与した状態を設定しCa負荷試験をした. その結果を従来までの検査結果 (第4報, 本誌, 71, 1349, 1980) と比較しながら本症の成因を考察した. 対象・方法: AH37例, HC22例に対し高Ca含有食の摂品を1週間制限した (その間の平均摂取最は約250mg/日). 検査3日前から連日PM9時に活性型ビタミンDを3μg投与した. Ca負荷試験の要領及び検査項目等は既報と同じである. 結果・考察: 尿中Ca排泄量, 血清Ca及びCa++値の上昇は従来までの検査では, AHがNCに比べわずかに大きいにすぎなかつたが, 今回の検査ではAHにおける上昇が有意に大きくみられた. 特にAHの約2割の症例では, NCにおける尿中Ca排泄量の増加の最高値である300mg/g. Cr以上も増加した. これらのことから, AHの成因の一つにはビタミンDに対する感受性が他に比べ亢進していることが推察されると共に, AHの病態は2型以上に分類できる可能性が考えられた.
ISSN:0021-5287
1884-7110
DOI:10.5980/jpnjurol1928.74.9_1575